コーヒーと共に人生を歩む堀内隆志氏に教えてもらった、美味しいコーヒーの淹れ方と楽しみ方
「美味しいコーヒーを自分でも淹れてみたい」。一見するとすごくシンプルな事なのに、実際にやろうとすると想像以上にうまくいかない。今回はそんな体験を持つ皆さんのために、改めて美味しいコーヒーの淹れ方をプロに教えてもらいました。
「美味しいコーヒーを自分でも淹れてみたい」。一見するとすごくシンプルな事なのに、実際にやろうとすると想像以上にうまくいかない。今回はそんな体験を持つ皆さんのために、改めて美味しいコーヒーの淹れ方をプロに教えてもらいました。
今回ご協力頂いた堀内隆志さんは、日本におけるカフェカルチャーの草分け的な存在であり、その後のブームの火付け役にもなったコーヒーの世界のプロ。1994年に鎌倉で「カフェ・ヴィヴモン・ディモンシュ」を開店して以来、自らの足で世界中を回ってコーヒー豆の買い付けを行い、淹れ方にこだわり、ついには本格的な焙煎まで自らで手がける日々を過ごしています。今回はコーヒーの淹れ方と楽しみ方を熟知する堀内さんに、堀内さん流のコーヒーの淹れ方(入門編)を教えて頂きました。
1.使用するドリッパーの選択によっても、コーヒーの味わいは変わっていく
今回、堀内さんのお店を訪ね、最初に見せて頂いたのは2種類のドリッパー。向かって右側は底に小さな穴が1つあいている台形のドリッパー。そして左側は円すい状で大きな穴が特徴のコーノと呼ばれるもの。
ドリッパーは他にもたくさん種類があるそうですが、1つ穴の台形のドリッパーは、ドリッパーにお湯が溜まりやすく、粉がお湯によく浸透するため、味も香りも濃い目に出るのが特徴なのだとか。そしてコーノの方はお湯の通りが良いため、比較的クリアな味わいのコーヒーが作りやすいのだとか。今回は家庭でも見かける事が多い形状のドリッパー、コーノの方でコーヒーを淹れて頂きました。
2.ペーパーフィルターの使い方にもちょっとした気遣いを
次に見せて頂いたのは「ペーパーフィルター」。フィルターの横面を折っておくとフィルターが開きやすくなり、ドリッパーにしっかりとフィットしやすいのだそうです。
そしてフィルターに軽くお湯をまわしかけていく堀内さん。なぜいきなりフィルターにお湯をかけるのだろう?と思って聞いてみたところ、ペーパー自体に付いている臭いや味を抜くために、最初に軽くお湯をかけるのだそうです。ちなみにこの工程で落ちたお湯は捨ててOKとのことでした。
3.その場で豆を挽き、新鮮なコーヒー粉で一杯を作り上げていく
続いてはコーヒー豆を計量し、コーヒーミルで豆を挽いていきます。その場で豆を挽き、新鮮な粉で作り上げていく一杯です。今回は中深煎りの豆で2杯分(250ml)のコーヒーを淹れて頂く事になりました。
計量した豆をコーヒーミルへと流し入れ、待つこと数十秒。あっという間に豆は粉へと形を変え、周囲にふんわりと良い香りを漂わせていきます。この香りに包まれると、段々と気分が安らいでいくよう。何とも言えない素敵な香りです。
4.ドリッパーにコーヒー粉を入れ、平にならし、整えていく
挽きたてのコーヒー粉をさっとフィルターへと注いでいく。
そしてコーヒー粉が入ったドリッパーを軽くゆすり、粉が平になるようにならし、整えています。そうするとこんな感じで粉が均等に揃っていました。
5.渋みやエグみを避けるため、使用するお湯の温度にも気をつける
コーヒーというのは、沸騰したお湯で淹れてしまうと渋みやエグみが出てしまうのだそうです。そのため、堀内さんの場合は豆やドリッパーの種類によって、使用するお湯の温度も調整しているのだそうです。
今回はコーノのドリッパーを使用し、中深煎りのコーヒーを淹れて頂くため、84℃から85℃のお湯へと調整するのだとか。豆やドリッパー、温度の違いで味わいの差を見極められるって本当に凄いですね・・・
沸騰したお湯をサーバーへと注ぎ、さらにサーバーからポットへとお湯を移していく。こうやって何度かお湯を往復させていき、適切な温度になるようにお湯を冷ましていくのだそうです。
ちなみに堀内さんが使用しているポットには、こんな感じで温度計も備え付けられていました。
6.コーヒー粉に静かにお湯をかけ、蒸らしていく
お湯が適切な温度になった所で、続いては「蒸らし」の工程へ。コーヒーの美味しさを引き出すためには、この蒸らしの工程も重要なのだそうです。静かに細~くゆっくりと、中央から徐々に外側へとお湯をまわし入れていくと、泡がふんわりと立ち始めました。
そしてお湯を細くまわし入れた部分に泡が広がっていき、こんもりと膨らんできました。
泡が消え、粉がお湯を吸い込み、最終的にはとても美しいドームのような形に。この状態になれば蒸らしの工程は完了だそうです。この蒸らしの時間は粉の量によっても異なるそうですが、コーヒー2杯分(250ml)を抽出する場合はコーヒー粉23g、1分ほどの蒸らし時間が目安になるとのことでした。
7.いよいよ仕上げへ。5、6投を経てコーヒーを本抽出していく
そしてここからはいよいよ仕上げの工程へ。コーヒーを本抽出していきます。お湯は細く静かに、そして途切れないように一定のリズムで注いでいくのがポイントなのだそうです。
真ん中から一定のリズムで細く静かに注ぎ、徐々に外側へとまわしかけていく。そして外側の縁から1.5cmほどの所まで注いだら一旦お湯止め、サーバーにコーヒーが溜まっていくのを待ちます。
本抽出の工程に集中し、静かにコーヒーの変化を見つめていく堀内さん。
中央の泡が平になってきたら2投目のお湯を注いでいきます。こうやってゆっくりとお湯を注いでは待つという作業を繰り返し、合計で5、6投に分けてコーヒーを抽出していくのだそうです。
そして最終的に抽出できたコーヒーがこちら。正直美味しいコーヒーを淹れるために、こんなに小さな手間暇を重ね、工夫しているとは知りませんでした。今回は傍らで堀内さんの抽出作業をずっと見守るだけでしたが、改めてコーヒーという飲み物がとても貴重なものに見えてきました。
抽出したコーヒーをカップへと注いでもらい、極上の一杯を頂くひと時。色、香り、口に含んだ瞬間の味わい、そして広がっていく後味。たった一杯のコーヒーがこんなに美味しいなんて!改めてコーヒーと共に人生を歩んでいる堀内さんの技術力に驚いてしまいました。
【補足その1】ドリッパーでコーヒーを淹れる楽しさも広がっていく
今回は「コーノ」のドリッパーを使用してコーヒーを淹れて頂きましたが、ドリッパーにこだわるだけでも、味の楽しさはグンと広がっていくのだそうです。使用する豆とドリッパー、それに合わせた温度の組み合わせなどでも、全く違う味わいのコーヒーが出来上がるのだそうです。
※上記例はタカヒロのステンレス製細口ドリップポット「雫」(0.9L)で、ヴィヴモン・ディモンシュオリジナルカラーのもの。こちらもお店やネットショップで購入できるそうです。
そして美味しいコーヒーを淹れるのに欠かせないのが「ポット」。やかんでお湯を沸かし、そのまま直接フィルターに注いでいるという方も案外多いとは思いますが、今回ご紹介した通り、お湯の温度や注ぎ方次第でコーヒーの味わいもワンランク変わってくるそうですよ。
※上記例はタカヒロのステンレス製細口ドリップポット(0.9L)で、ヴィヴモン・ディモンシュオリジナルカラーのもの。こちらもお店やネットショップで購入できるそうです。
今回は鎌倉で長年愛されている名店、カフェ・ヴィヴモン・ディモンシュのマスター、堀内さんのご協力で美味しいコーヒーの淹れ方をご紹介してきましたが、コーヒーの世界は限りなく奥深く、なんとも広く感じられたひと時でした。皆さんもちょっとしたこだわりを手始めに、奥深いコーヒーの世界へと足を踏み出してみませんか?
今回協力頂いた堀内隆志さんのプロフィール
1967年東京生まれ。1994年に「カフェ・ヴィヴモン・ディモンシュ」をオープンさせる。カフェ経営と並行して、ブラジル音楽のアルバムプロデュースや選曲、ラジオ番組のパーソナリティー、執筆と、活動は多岐にわたる。FMヨコハマでは日曜日の朝7:26~「by the Sea COFEE&MUSIC」のパーソナリティーを務め、著書には「珈琲と雑貨と音楽と」(NHK出版)、「コーヒーを楽しむ。」(主婦と生活社)、「鎌倉のカフェで君を笑顔にするのが僕の仕事」(ミルブックス)などがある。
カフェ・ヴィヴモン・ディモンシュ
住所:神奈川県鎌倉市小町2丁目1-5 桜井ビル
アクセス:JR横須賀線鎌倉駅からすぐ
公式サイト:http://dimanche.shop-pro.jp/
取材・編集/ソーシャルグッドマーケティング
カフェ・ヴィヴモン・ディモンシュ
http://dimanche.shop-pro.jp/