大人になって良かった!お酒と和菓子は相性抜群だって知ってた?
最近、さまざまなシーンで取り上げられることが増えた和菓子。昔からの伝統ある作り方に新しい要素を吹き込んだ「ネオ和菓子」なんて言葉も生まれていますよね。そんな和菓子のお供といえば、緑茶、ほうじ茶、玄米茶…もとい、日本茶がスタンダード。ですが和菓子には、日本茶ではなく、お酒も合うってご存知でしたか?
2018年2月2日
Produced by ぐるすぐり食マガジン
どうも、こんにちは、ライターのいちじく舞です。
日本が誇る伝統的な食べものとして欠かせないのが、和菓子。和菓子と聞くと、おじいちゃん、おばあちゃんがお茶を飲みながら食べるものなんてイメージがありますよね。
でも奥深い和菓子の世界には、お茶だけでなく、お酒にも合うという噂が…!
今回は、お酒のプロフェッショナル「銀座ROCK FISH(ロックフィッシュ)」のバーテンダーでもあり、オーナーの間口一就さんを識者に迎え、5種類の和菓子に合うお酒をご紹介いただきました!
間口一就(まぐちかずなり)
2002年にオープンした「銀座ROCK FISH」のバーテンダー兼オーナー。2016年にとらや 東京ミッドタウン店ギャラリーで行われた、第38回企画展「和菓子で酔う」に協力。著書「まぐちのつまみ」や「ゆびつまみ」など多数持つ。
洋酒×和菓子は意外にも仲の良い関係だった!
いちじく 「和菓子とお酒…。一緒にいただくという概念がありませんでした。」
間口さん 「別のカテゴリーとして考えられがちですよね。」
いちじく 「決して交わることのない別世界の住人として認識しています。」
間口さん 「でも、そもそもお酒自体、甘いリキュールと割って飲むことが多いですよね。なので、お酒は甘さと相性が悪いわけではないんです。」
いちじく 「確かに…!お酒×甘い液体(リキュール)が、お酒×甘い個体(和菓子)になる、ということですね。」
とはいえ、ウイスキー片手にチョコレートをつまむ、なんて風景は馴染み深く納得もできるのですが、今回ペアリングしていただくのは、洋酒と和菓子。口の中で喧嘩せず、本当にマッチしてくれるのでしょうか?
早速、異色のコンビ!羊羹×ウォッカストレート
まずは羊羹。羊羹に合わせてご用意していただいたのは…ウォッカストレート!早速、驚きの組み合わせが出てきました。ウォッカというとロシアのお酒という印象が強いですが、果たして和菓子と合うのでしょうか。
間口さん 「口の中でずんと存在感を感じさせる、餡子がみっちりと詰まった羊羹。強さと滑らかさが共存する羊羹には、アルコールの強さと穀物のピュアな風味が楽しめるウォッ力をストレートでおすすめします。」
本当ですか…?と、訝しげな表情を抑えながら、羊羹をウォッカで流し込みます。すると…
わ!すごい!
羊羹の濃厚な餡子とキレのあるウォッカが、お互いの長所を尊重し合いながらきちんと融合しています…!羊羹とウォッカが両方が持つ『味わいの強さ』が共通言語となり、見事、友好条約が結ばれました。
餡子にはオレンジリキュール!? 饅頭×アメールピコン
次にペアリングしていただいたのは、和菓子の定番ともいえる饅頭!バーで饅頭を見る機会ってなかなかないですよね。心なしか饅頭も挙動不審になっているように見えます。そんな饅頭と一緒にいただくのは…
間口さん 「アメールピコンというリキュールをストレートでいかがですか?黒糖ベースの甘みで蒸しあげられた茶饅頭には、オレンジの風味がある、ふくよかな口当たりのアメールピコンがよく合いますよ。」
アメールピコン自体、初めていただきます…これは、かなりアダルティーな味!オレンジの甘みの奥にあるほのかな苦味が、上手に饅頭の甘さを抑えてバランスを取っている。1日頑張った夜のご褒美としていただきたい組み合わせです…!
しょっぱいものとスッキリは定番!せんべい×ウイスキーハイボール
お次は、甘味ではないものの和菓子枠の中では外せない、おせんべい。そのおせんべいのパートナーに選ばれたのは…ウイスキーハイボール!お酒のあて=塩っぱい菓子という法則にのっとっているこの2人組は、どこか貫禄さえ感じさせます。
間口さん 「素朴ながらお米の美味しさを軽やかに楽しませてくれる、伝統的な醤油せんべい。ここで樽香のきいたウイスキーを炭酸で割ったハイボールの出番です。焼けた醤油の風味やぱりん!と心地よい噛みごたえによく合う、気取らない美味しさが味わえます。」
…うん、納得のコンビネーション!芸歴20年以上の玄人芸人が繰り広げる漫才のような安定感があります。せんべいに塗られた醤油の旨みが爽やかなハイボールと口の中で混ざり合いますね。これぞ和洋折衷の極み。
何より、「銀座ROCK FISH」の人気メニューであるハイボールが美味でした。今まで飲んできたハイボールの記憶が刷新されるほど、洗練された上品な味わい。お店に足を運んだ際は注文すべき!
和菓子と炭酸のコラボレーション!大福×ジンリッキー
大福の相棒に選ばれたのは、ジンにライムを絞り、ソーダで割ったジンリッキー。並べてみると、なんとも珍しいこの絵面の完成です。
間口さん しっとりとした舌触りと、すっきりとした風味の餅をまとった大福。そんな大福には、華やかなジュニパーリーの香りを持つ、シャープな味わいのジンリッキーをどうぞ。
柑橘系と餡子は意外に合うと先ほどのアメールピコンで発覚しましたが、餡子と炭酸は…未知数!
あれ?あれあれ…これも合う!尖った味わいのジンを、もったりとした大福がまろやかに中和してくれています…!まるで、性格が真反対の凸凹コンビが次々に難事件を解決していく、刑事ドラマのようです。
ビールベースだって持って来い!どら焼き×シャンディガフ
最後に登場したのは、みんな大好きどら焼き。そんなどら焼きにペアリングされたのは…シャンディガフ!いなせな夜に飲みたいシャンディガフと、休日のお昼過ぎにゆったりといただきたいドラ焼き。なんだか時空が歪みクラクラしてきました。
間口さん 「砂糖や蜂蜜を加えて、香ばしく焼かれた歯切れの良い食感の力ステラ生地には、ピルスナータイプのビールをジンジャーエールで割ったシャンディガフを。生姜の味わいと、ビールの切れ味がどら焼きの生地とよく合うんです。」
ハムッ…ング、ング、ング…ゴクリ。
あ!美味しい!どら焼きのコクのある甘さと、シャンディガフが持つ、苦味を含んだ爽やかな甘さの相性が良い。どら焼きがビールベースのシャンディガフと合うなら、もはや居酒屋のお通しにしてもアリなのでは?
味の共通項を見出し、全体の甘さのバランスをはかることで新たな扉が開ける!
店舗情報
住所:東京都中央区銀座7-2-14 第26ポールスタービル2F
電話番号:03-5537-6900(予約不可)
営業時間:月曜日~金曜日 15:00~22:00
土曜日・日曜日・祝日 14:00~17:30
定休日:不定休
http://maguchikazunari.jp/
(ライター/いちじく舞 撮影/高山諒+ヒャクマンボルト)