叙々苑の焼肉弁当が最強？舞台の出来を左右する「俳優差し入れ事情」を聞いてみた

公開日時：2017/07/25 00:00　更新日時：2017/11/15 16:16

こんにちわ。大川竜弥です。フリー素材モデルの活動をはじめてから、5年半。ありがたいことにお仕事をいただく機会が増え、企業の広告や商品パッケージのモデル、アーティストのプロモーションビデオ、ドラマなど、さまざまなジャンルの現場へおじゃまするようになりました。そんな私が抱えている最近の悩みは、「差し入れ」。どのような差し入れをすれば喜んでいただけるのか。注意すべきことはあるのか。ずっと個人で活動をしていたため、差し入れのイロハが全くわかりません……。

2017年7月25日
Produced by ぐるすぐり食マガジン

こんにちわ。大川竜弥です。
フリー素材モデルの活動をはじめてから、5年半。ありがたいことにお仕事をいただく機会が増え、企業の広告や商品パッケージのモデル、アーティストのプロモーションビデオ、ドラマなど、さまざまなジャンルの現場へおじゃまするようになりました。

そんな私が抱えている最近の悩みは、「差し入れ」。

どのような差し入れをすれば喜んでいただけるのか。注意すべきことはあるのか。ずっと個人で活動をしていたため、差し入れのイロハが全くわかりません……。

差し入れについてインターネットで調べたところ、「舞台現場の差し入れは至高。商品の選び方、気配りなど全てがトップレベル」という情報を発見。

差し入れのイロハを学ぶべく、藤原竜也さんの主演舞台を中心に数多くのヒット作を手がける、株式会社ホリプロのチーフプロデューサー・梶山裕三さんにお話を聞きました。

叙々苑焼肉弁当を100個差し入れることも……

大川　お仕事で撮影現場におじゃまする機会が増えたので、共演者やスタッフのみなさんに差し入れをしたいなと思っているんです。でも、ずっと個人で活動していたため、どのような差し入れをすれば喜んでもらえるのかわかりません。舞台の差し入れは全てがトップレベルという情報を聞き、差し入れのイロハを教えていただきたいなと思いまして。

梶山　なるほど。舞台の差し入れは特殊かもしれませんが、僕でよければ力になりますよ。まず、俳優さんはそれぞれ差し入れの持ちネタがあるんです。藤原竜也さんは「叙々苑の焼肉弁当」ですね。

大川　叙々苑の焼肉弁当をもらったら、絶対テンション上がりますよ！　でも、共演者だけじゃなくてスタッフさんの分も差し入れるんですよね？　すごい金額になりそう……。

梶山　100個差し入れることもあります。叙々苑の焼肉弁当が2500円だとして、25万円ですね。

大川　もしかして、公演中毎日差し入れるんですか？

梶山　いえ、違います。舞台のスケジュールは、だいたい週に8公演なんです。水曜日と土曜日に2回公演があって、あとは昼公演か夜公演のどちらか。なので、2公演の間に、あまり時間に余裕のない1日2回公演の日に差し入れをするのが定番ですね。

大川　それでも、すごい金額だ……。

梶山　舞台で働く人方々にとって、お弁当は命と言っても過言ではないくらい重要です。なので、いかに多くの弁当のバリエーションをもっているかどうかは、舞台製作者としてはすごく重要ですね。通常、舞台の仕込み期間中は制作からお弁当をお出ししますが、もしも、ついうっかり昼と夜の弁当がどっちも生姜焼きだったとすると、スタッフ・キャストから「この制作ないわー」と思われて、取り返すことができないくらい信用を失います。

大川　みなさん、それぐらい楽しみにしているんですね！　素朴な疑問なんですが、差し入れは俳優さんの自腹ですか？

梶山　そうです。おそらく、事務所さんが払っているのではなく、俳優さんのポケットマネーだと思います。初日の幕があくと、2回公演の日ごとに、主役の俳優さんからスタートして、チラシに名前が載っている順番に差入れしていただけることが多いです。

大川　主役クラスの俳優さんは、差し入れ代も上乗せされた出演料がもらえるんですか？

梶山　「この金額はお弁当代も込みです」とはもちろん言いません（笑）。差入れはすべて俳優さんたちの心意気です。舞台の出演料は決して高くありませんが、皆さん、共演者やスタッフへの心遣いとして、気持ちよくお弁当を差入れしてくださいます。

大川　"差し入れは心意気"かぁ……。勉強になります。

スタッフに温かいものを食べさせたい、その気持が“粋”

梶山　差し入れはテンションを上げる目的もありますね。柄本明さんは、ラーメンとチャーシュー丼を差し入れしてくれました。

大川　それは現場で作るんですか？

梶山　そうです。楽屋に突然寸胴が運び込まれたんですけど、消防法の問題で火が使えなく困りました（笑）。結局、電気コンロで加熱したんですが……。

大川　電気コンロだと火力が足りないですよね（笑）

梶山　でも、十分においしかったです。スタッフのみんなに温かいものを食べさせたいっていうそのお気持ちがとても粋に感じました。浅野ゆう子さんは「築地うなぎ食堂のうなぎ弁当」を差し入れしてくださったんですが、ひもを引っ張ると温まるやつで。滅多に食べれないうなぎが、ほかほかの状態で食べられると知って、1回目の芝居をやっている最中から、カンパニーのテンションはかなりあがってました。

大川　確かに、稽古や本番で疲れているところに、温かくて美味しい差し入れがあったらテンション上がりますね。

梶山　吉田鋼太郎さんも叙々苑の焼肉弁当を差し入れしてくれるのですが、最近のお気に入りは「広尾アロハファームカフェのスパムおにぎり」です。

大川　おしゃれ！　おにぎりなら時間がないときでも食べられそうです。

梶山　一つひとつ小分けになっているので、ちょっとした空き時間にすぐ食べられる。先日テレビでも紹介していたので、本人がハマっているという理由もあるかもしれません（笑）

好き嫌いの確認、多めに注文などの気配りも必要

大川　差し入れをするときに気をつけることってありますか？

梶山　うなぎ弁当ってみんなテンション上がるんですけど、ひとつの舞台には、スタッフを含めると結構な人数が関わっていますので、なかには1人か2人うなぎを食べられない人が必ずいるんですよ。なので、セーフティーで3つぐらいうなぎ弁当以外のものを入れていただくよう、俳優さんの事務所にはお願いすることにしています。叙々苑の焼肉弁当のときも、お肉が苦手な人もいらっしゃるので、お魚もいくつか用意していただくと言ったふうに。

大川　アレルギーの問題もありますから、気を使いそうですね。差し入れの失敗例ってあるんですか？

梶山　かぶりですね。この前稽古場で、主役の俳優さんがパンを差し入れてくれたんです。そうしたら、同じタイミングで別の方がパンを買ってきてくれて……。

大川　食べ切れない量の差し入れが。

梶山　はい。でもそればっかりは仕方ないですね。そういうときはみんなで持ち帰ります。僕が差入れをさせていただくときは、そういう可能性も考え、なるべく日持ちのいいものを持っていきます、ゼリーとか。

大川　確かに、ゼリーならいつでも食べられますからね。

梶山　あとは、数の問題。お弁当は基本多めに注文するんですけど、突然来た偉い人が「あら、今日はうなぎ弁当なの？」とか言って食べちゃうときがあるんですよ。

大川　人数にカウントされてないのに（笑）

梶山　足りなくなったときは、必死で、同レベルのお弁当を買いに走ります。

差し入れがその日の舞台の出来に影響する？

大川　梶山さんが現在宣伝を手がけている舞台「ビリー・エリオット〜リトル・ダンサー〜」では、差し入れはもういただいたんですか？

梶山　ビリー・エリオットは、長期間にわたって稽古をしていたので、社長から、何回か焼肉弁当を入れさせていただきました。

大川　もしかして、叙々苑の焼肉弁当ですか？

梶山　ほかのお弁当もありましたが、やっぱり叙々苑弁当を入れると、盛り上がります。焼肉弁当では良くあることなんですが、食べた後の本番中は、舞台上がちょっとニンニク臭いんです（笑）。全員が焼肉弁当食べてるわけですから当然ですよね。

大川　劇場の最前列に座っている方は、「みんなで叙々苑弁当食べたんじゃない？」って気づくかもしれないですね（笑）

梶山　あると思いますよ。これは実際に俳優さんから聞いた話なんですけど、叙々苑の焼肉弁当が差入れで出たあとの舞台は、本番中、ちょっとずつみんなの声が大きいらしいんです（笑）。肉の力は絶大ですね。差し入れは、確実に舞台に影響すると思います。

大川　ありがとうございます。差し入れのイロハだけではなく、舞台に与える影響力もよくわかりました。金額的に叙々苑の焼肉弁当は難しいかもしれませんが、今後差し入れをするとき参考にします！

今回差し入れ事情について教えてくれた梶山プロデューサーが手がけるミュージカル「ビリー・エリオット」が7/19（水）から公演開始。映画『リトル・ダンサー』が、エルトン・ジョン作曲でミュージカルに！イギリスの炭鉱街でバレエ・ダンサーを夢見る少年の成長ストーリーです。詳しくは公式サイトをチェックしてくださいね。