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世界にはどんな鍋があるの? ポルトガル、シンガポール、モンゴルの鍋を食べてみた!

公開日時:2017/12/04 00:00  更新日時:2017/12/06 15:50

冬のヘビロテメニューといえば、鍋。みんなでお酒を片手に鍋を囲んで、ワイワイ過ごすのは冬の楽しみの1つですよね。そんな鍋ですが、日本以外にも世界各国にはさまざまな鍋料理があるとの噂を耳にしました! ということで都内で世界の鍋が食べられるお店を探し、さまざまなの国の鍋を実際に食べに行ってきました。今回食べ歩いたのは、ポルトガル、シンガポール、モンゴル、3カ国の鍋です。

世界にはさまざまな鍋があるのをご存知ですか?

2017年12月6日
Produced by ぐるすぐり食マガジン

こんにちは、ライターの ranranです。冬のヘビロテメニューといえば、鍋。
みんなでお酒を片手に鍋を囲んで、ワイワイ過ごすのは冬の楽しみの1つですよね。
そんな鍋ですが、日本以外にも世界各国にはさまざまな鍋料理があるとの噂を耳にしました! ちなみに、私は頭を捻りまくりましたが、中国の火鍋くらいしか思い浮かびませんでした……。世界の鍋って一体どんなものがあるのでしょうか? 気になる……。

ということで都内で世界の鍋が食べられるお店を探し、さまざまなの国の鍋を実際に食べに行ってきました。今回食べ歩いたのは、ポルトガル、シンガポール、モンゴル、3 カ国の鍋です。

【ポルトガル】魚介たっぷりの蒸し煮鍋「カタプラーナ」

まず、初めに訪れたのは渋谷・松濤にあるポルトガル料理専門店「マヌエル・コジーニャ・ポルトゲーザ 渋谷店」。

正直、ポルトガルと言われてもあまり具体的なイメージが浮かんでこないのですが(大航海時代とかでちょっと出てきたっけな?レベル)、店内の置物や大きな黒板からなんとなくイメージを膨らませます。

早速、ポルトガルの鍋、カタプラーナを注文すると、こちらの鍋が運ばれてきました。

二枚貝のような形をした独特な見た目。鍋自体の名前をカタプラーナといい、 この鍋で出てくる料理名もすべてカタプラーナとなるそうです。

フタを開けると……

赤褐色のスープに、魚介がたっぷり!

ちょっぴりスパイシーな香りといえばよいのか、これまでにあまり嗅いだことのない匂いがします。

どんな味なのかワクワクしながら、器に取り分けて、スープを一口飲んだその瞬間、「これは一体なんの味なんだろう? 今まで食べたことない味だ……」と、
初めて口にするポルトガル料理の異国感に圧倒されました。

ずっしりとした魚介の旨味の中に、ほのかなスパイスの酸味が凝縮されています。まるでパスタソースやつけ麺のスープのようにとにかく濃厚で、飲みすぎてはいけない気がするのに「あぁ……もうちょっと、あとちょっと飲みたい…
…」と手が止まらなくなるおいしさでした。

スープをゴクゴクしたい気持ちを抑えつつ、具材に手を伸ばしていきます。

エビに…… パーナ貝に…… 小さくてかわいいイカ!? 「マメイカ」という小型のイカだそうです。
この他にもアサリやカジキマグロといった魚介類に、ピーマン、ジャガイモ、タマネギなどの野菜がふんだんに入っていました。


普段の鍋の具材に比べて、魚介と野菜の食感がプリプリ&シャキシャキしていたのが印象的でした。これは鍋が密閉され、蒸し器のような構造のため実現できるのだとか!

とにかくフォークとスプーンが止まらず、あっという間に平らげてしまいました。すると、その様子を見ていたシェフの巴田さんから「残ったスープを使って、リゾットにしましょうか?」との言葉が……。

「こんなのリゾットにして美味しくないわけがないだろう…」と思いつつ、「お願いします!」と即答していました。

そして運ばれてきたリゾットがコチラ。

ああ、もう、たまらないです。

すぐに真顔で器によそって……
にやけながら食べました。

先ほどのスープがさらに濃縮され、魚介の味がしっかりとご飯に染み込んでいています。もう幸せでした。

もちろん、リゾットのほうもあっという間に完食しました。ごちそうさまでした。

最後に、シェフの巴田さんにカタプラーナについてお伺いしました。巴田さんはマヌエルがオープンする前に何度もポルトガルへ行き、伝統料理などを中心に勉強されたそうです。

ranran 「カタプラーナ、すごく美味しかったです。あんまり食べたことのな
い味だったのですが、スープにはどんなものを使っているのですか?」

巴田さん 「エビのだしでとったスープを使っています。今回の鍋は魚介と野菜のみを使用しているので味は濃厚ですが、実はヘルシーな料理なんですよ。」

ranran 「なるほど! 女性にはぴったりの鍋ですね! ちなみにポルトガルではカタプラーナはどんなときに食べられているんですか?」

巴田さん 「カタプラーナはポルトガル南部の漁師町の伝統料理です。家庭料理としてよく食べられています。」


ranran 「ちなみにカタプラーナを作るときのルールとかってあったりするんですか?」

巴田さん 「特に決まったルールはなく、この鍋を使っていればなんでもカタプラーナになります。お店や家庭によっても味や具材はそれぞれですが、ポルトガルは漁業が盛んなので、具材は魚介が中心になることが多いですね。冬になると、あん肝を入れたりしますよ!」

ranran 「カタプラーナといっても様々な味があるんですね。いろんなカタプラーナを食べてみたくなりました! それにしてもあん肝のカタプラーナ、想像しただけでもよだれが出そうです……。本日はカタプラーナについて教えていただき、ありがとうございました!」

店舗情報

マヌエル・コジーニャ・ポルトゲーザ 渋谷店
https://r.gnavi.co.jp/a214102/
住所:東京都 渋谷区 松濤 1-25-6 1F
電話番号:03-5738-0125

【モンゴル】羊のホルモンがたっぷり入ったスタミナ鍋「ホイツァイ」

続いて訪れたのは、巣鴨にあるモンゴル料理専門店「シリンゴル」。モンゴルといえばなんとなく力士や遊牧民のイメージがありますが、モンゴル料理はどんな感じなんだろう……? そんな疑問を抱きつつ、さっそくお店に入ってみたいと思います!

入り口に入ろうとすると、いきなり羊が二頭。もしかしてこれを食べるの……?店内に入ると、まずに目に留まったのは馬頭琴。今回は聴くことができませんでしたが、シリンゴルではディナータイムにシェフが演奏する馬頭琴を聴くことができるそうです。

小学校の教科書に載っていた「スーホの白い馬」の絵本も置いてありました。
これには、思わず「懐かしい!」と声をあげてしまいました。店内にはこの他にもモンゴルグッズがいたる所に置いてありました。あれこれ眺めている間に、鍋の準備が整ったようです。

出てきたのはモンゴルの鍋料理、ホイツァイ。大きな鍋に溢れんばかりの具材が! そのボリュームに驚くばかりです。

特徴的なのは真ん中に空いた穴。今はコンロを使用していますが、昔のモンゴル人はここに炭を入れて鍋を温めたそう。グツグツと煮立つ鍋からは美味しそうな匂いが漂ってきます。

早速、食べていきたいと思います!

取り皿にとってみると、羊のホルモンを中心に、キクラゲ、春雨、豆腐、パク
チー、じゃがいも、ねぎ、白菜といったたくさんの野菜が入っていました。

醤油ベースのスープは、羊の出汁に韮菜花醤(ジョウツァイタイ)というニラの花を塩漬けにした調味料、豆腐に麹をつけ、塩水中で発酵させた腐乳が入っているそうです。決して主張が強いわけではないこのスープですが、羊の油とほのかな苦味が妙にクセになるちょっと不思議な味わいです。

次は、羊のお肉を食べてみます!
モンゴルで食べられているのはマトン肉で、ラム肉を食べることはほとんどないそう。

あまり脂っこくなく、歯ごたえがしっかりとしていておいしいです。しっかりとしたお肉で、赤身好きの私にはたまりません!

続いて、羊のホルモン。
この鍋には羊の舌、心臓、肝臓、腎臓といった部位のお肉が入っているそうです。
羊のホルモンを食べるのは今回が初めてだったのですが、ほろほろとした食感であまりクセもなく美味しく食べられました!

その後、店長の田尻さんに店内に飾られているモンゴルの民族衣装の帽子を被ることを薦められ、帽子をかぶりながらホイツァイを食べ続けます。

初めは「少し不思議な味だなあ〜」と思いながら食べ始めたホイツァイですが、いつの間にかやみつきに……。

ボリューミーで、完食する頃にはちょっと苦しいくらいお腹がいっぱいになってしまいました。

ホイツァイ鍋を存分に堪能したところで、田尻さんにさらに詳しく聞いてみました。田尻さんは、前職でモンゴルへ頻繁に足を通っていた際に、その素晴ら
しさに魅了され、東京で初めてのモンゴル料理店をオープンされたそう。

ranran 「ホイツァイ、かなりボリューミーでした! モンゴルの人もこんなにたくさん食べるのですか?」

田尻さん 「そうですね、モンゴルの遊牧民は外に出たら 1 日帰ってこないので、1 食しか食べない人もいます。なので、一回の食事のボリュームは多いかもしれません。」

ranran 「へえ〜! ちなみにモンゴルではどんなときにホイツァイが食べられるのですか?」

田尻さん 「ホイツァイという料理名はモンゴル語で野菜という意味なんです。モンゴルでは野菜は貴重な食材なので、ホイツァイは祝いごとなど特別な時に食べられますね。」

ranran 「そうなんですね! ホイツァイに入っていた羊のお肉ですが、モンゴルではマトン肉しか食べないそうですね。何か理由があるんでしょうか?」

田尻さん 「モンゴル人は歯ごたえがしっかりとした硬めの肉を好みます。なので、ラム肉だと柔らかくて食べた気がしないんだそうです。また、土地柄野菜をあまり食べることができないのも理由の一つで、草の香りがするマトン肉を好みます。中には肉を食べればその羊がどんな種類の草を食べたのかがわかるという人もいますね。」

ranran 「お肉を食べただけでわかるんですか……!それは驚きです。
モンゴルやホイツァイについていろいろと教えていただき、ありがとうございました!」

店舗情報

シリンゴル
https://r.gnavi.co.jp/e199800/
住所:東京都文京区千石 4-11-9
電話番号:03-5978-3837

【シンガポール】スパイシーなしゃぶしゃぶ!? 「スチームボート」

最後に訪れたのは、恵比寿にある「エビス新東記」。

シンガポールといえば、アジアの様々な国から人が集まっている多民族な国というイメージがあります。

事前に調べてみたところ、今回食べるシンガポールの鍋、スチームボートは東南アジアで広く食べられている鍋料理なのだとか。

お店に到着し、スチームボートをお願いすると、すぐにお鍋と具材が運ばれてきました。

まずは具材が置かれ、スープがきました!先に食べた 2 カ国の鍋とはタイプが異なり、しゃぶしゃぶと鍋の中間のような料理みたいです。

エビス新東記で楽しめるスープは 2 種類。どちらも近くで匂いを嗅ぐと鼻がむずむずするくらい、スパイスが効いています。

右はラクサという東南アジアの麺料理のスープで、ココナッツミルクに香辛料を効かせた濃厚でスパイシーな味です。バターチキンカレーに近い雰囲気があります。

左はバクテというスペアリブを煮込んだスープで、シンガポール料理によく使
われているそう。こちらも胡椒ベースで非常にパンチが効いています。

まずは、タイとエビから食べていこうと思います。

特徴的なのはこのザルのようなおたま。ここに具材をセットし、しゃぶしゃぶの要領で火を通していきます。

エビもタイも食感がプリップリしていて最高です。
このように、スチームボートはしゃぶしゃぶして食感を楽しむのもよし! しっかりと味が染み込むまで煮込んで食べるのもよし!
時間の経過とともにいろいろな楽しみ方ができる料理なんだそうです。

ということで、次は具材を少し煮込んで食べてみようと思います。

野菜やお肉をバサバサっと鍋に投入し、しばらく煮込んで食べます。

味が染みていてとても美味。後からじわじわくる辛さで、だんだん体も熱くなってきます。辛みにあまり強くない私はこの辺りで「やばい……辛い……」とギブアップしそうになりました。

そんな窮地から私を救ってくれたのが、ココナッツミルク。

少しスープに混ぜると、かなり辛さがマイルドになり、濃厚さがプラスされました。

一瞬止まりかけていた箸も再び動き始めます。具材をどんどん鍋に投入し、少々汗ばみながら完食。

最後に店長の鳥居さんにスチームボートについて聞いてみたいと思います。鳥居さんは頻繁にシンガポールに足を運んではシンガポール料理を勉強しているんだとか。

ranran 「私があまり辛いものを得意ではないということもあってかもしれませんが、スチームボートは結構辛いですよね。シンガポールの人は辛いものが好きなんでしょうか?」

鳥居さん 「そうですね。シンガポールの中でも、特にインド系・中国系・マレー系の人たちは辛いものが好きな人が多いですね。僕がシンガポールにいたときも、辛いものが苦手な人はいないんじゃないかと思うくらいみんな平気な顔をして食べていましたね。」

ranran 「なるほど……。もっと辛さ耐性をつけてシンガポール料理に挑戦しようと思います。スチームボートのスープや具材は今日いただいたようなものが多いんでしょうか?」

鳥居さん 「作る人の出身地域によって結構違いますね。でも、先ほども言ったように全体的に辛味が強いものは多いとは思います。」

ranran 「出身地域によって味が違う……さすが多民族国家です。スチームボートはどんなときによく食べられる料理なのですか?」

鳥居さん 「家庭で日常的によく食べられていますよ。日本の鍋と同じような感覚で、たくさん人が集まって食事をするときに作ることが多いですね。僕もシンガポールの友人の家にお邪魔すると、よくこの鍋が出てくるんですよ!」 ranran 「アジアというだけあって、考え方が似ているのかもしれませんね。
スチームボートについて色々教えていただき、ありがとうございました!」

店舗情報

恵比寿新東記
https://r.gnavi.co.jp/kgzh3nu20000/
住所:〒150-0022 東京都渋谷区恵比寿南1丁目18−12 竜王ビル II 2F
電話番号:03-3713-2255

鍋の楽しさは万国共通

3 日間に渡り、ポルトガル、モンゴル、シンガポールの鍋を食べ比べてきましたが、どの国の鍋にもその地域の特色や文化が色濃く反映されていることが分かりました。
味も形もそれぞれに違っていた鍋ですが、その中で唯一共通していたのは「一つの鍋を囲んで食べる」という行為。
家族や友人と一つの鍋を囲む楽しさは例え国が違っても、同じなんですね。

……と、鍋を食べ比べた 3 日間のことを思いながら記事を書いていたら、だんだん友達を集めて鍋パーティーがしたくなってきました。さっそく、美味しい鍋料理をリサーチしてみようと思います。

みなさん、ぜひ今年の冬も家族や恋人、友だちと素敵な鍋ライフをお送りください!

ライター情報

ranran プロフィール

工学部女子大生ライター。彼氏を束縛する人工知能を開発することが夢。研究 &開発を頑張りながら、女子大生ライフも満喫しています。

Twitter:@pascarrr
(カメラ・編集/高山諒+ヒャクマンボルト)

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