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お年賀とは?
お年賀は、そもそもどんな意味があるのでしょうか。お年賀に限らず、贈り物の意味や由来を知っておくとマナーのポイントがわかりやすく、正しいマナーを身につけるのに役立ちます。お年賀の意味と由来をみていきましょう。
お年賀の意味や由来
日本には、新しい年の神様(歳神様)をお迎えして祀る(まつる)習慣がありました。現代でもお正月に門松を立てたり、鏡餅を供えたりするのはその名残です。
年始の挨拶回りには、歳神様や仏様へのお供え物(御歳魂、おとしだま)を持参するのも習わしで、これが後に「お年賀」や「お年玉」になったといわれています。現代では、旧年中にお世話になった方への感謝と「今年もよろしくお願いします」という気持ちを込めて、年始挨拶の際にお年賀を贈るようになりました。
お年賀を贈る正しい期間
お年賀は、正式には「三が日」(1月1日~1月3日まで)の年始挨拶をするときに持参する品物を指します。しかし、三が日は、お互いに都合がつかないということも少なくありません。そのため、お年賀は「松の内」と呼ばれる1月1日~1月7日頃までに贈ればよいとされています。
ただし、元旦は避けるのがマナーなので、お年賀を贈る期間としては「1月2日~1月7日頃まで」となります。松の内の期間は、地方によって「1月15日頃まで」といった違いもあるので事前に確認しておくとよいでしょう。
お年賀を贈る相手
「お年賀を誰に贈ったらよいのか」ということも、迷いやすいポイントです。お年賀は「日頃、お世話になっている方への感謝」と「今後のお付き合いへの願い」を込めて贈るもの。そのため、お年賀を贈る相手は実家の両親をはじめ、お世話になっている親戚や勤め先の上司などが考えられます。また、結婚された方は仲人にも忘れずに贈りましょう。
全体の相場・相手別の予算目安
お年賀を贈るときの予算はどの程度がよいのでしょうか。全体の相場としては2,000~3,000円が多く、高くても5,000円程度とするのが一つの目安です。ただし、お年賀として適切な予算は、お付き合いの程度によって異なります。
相手ごとの予算は、以下のような額を目安にするとよいでしょう。
間柄 | 予算の目安 |
---|---|
親・親戚 | 3,000円 |
友人・知人 | 3,000円 |
仲人 | 3,000円 |
仕事関係 | 5,000円 |
お年賀の予算で気をつけたいのは、「高すぎる品は控える」ということです。あまりにも高価なものを贈ると先方が恐縮してしまい、むしろ印象が悪くなってしまうこともあります。安易に高い品を贈るより、相手の方が「喜ぶものは何か」を考えて贈ることがお年賀の本来の意味として重要です。
お年賀の正しい贈り方・マナー4つ
お年賀は、一年のはじまりの挨拶。正しい贈り方や適切なマナーを身につけて、印象のよいスマートな挨拶にしましょう。ここでは、大切なポイントを4つご紹介します。
基本的に手渡しで贈る
お年賀は本来、手土産として持参するもの。そのため、「直接手渡し」で贈るのが基本です。たとえ遠方で「直接、渡せない」といった場合にも留意したいポイントになります。
お中元やお歳暮は、デパートや通販などのショップから発送してもらうことが多くなりました。お中元やお歳暮に関しては、お店から相手方に送ってもらうのでも構いません。しかし、お年賀に関しては店舗から発送するのではなく、一度、自宅に持ち帰り(あるいは店舗から自宅に送ってもらい)、自宅から発送するのがマナーです。
遠方のために手渡しはできないものの、自宅から発送することで「直接渡す」という本来の形に近づけることができます。お年賀を贈るときは効率化よりも、ひと手間かけて感謝の気持ちを直接届けるようにしましょう。
お年賀の時期が過ぎてしまったらほかの名目で贈る
お年賀を贈ろうと思いつつ、松の内(1月7日)を過ぎてしまったときは、寒中見舞いとして贈りましょう。寒中見舞いの期間は1月8日~2月3日、立春(2月4日)の前までとなります。
相手が喪中の場合は贈る時期を変更する
お年賀には新しい年を迎えたことを「慶ぶ」という意味があるので、相手方が喪中のときはお年賀を贈るのは控えてください。代わりに松の内が過ぎてから、寒中見舞いを贈りましょう。
のし紙の書き方などのマナーを守る
のし紙(正式には「掛紙」)の表書きには濃い墨を使い、毛筆で「御年賀」、もしくは「御年始」と書くのが正式な書き方です。文字の大きさは、表書きの下に書く「贈り主の署名」を表書きよりやや小さくするとバランスがよくなります。
また、最近は「毛筆で書くのは苦手」という方も多いので、筆ペンで代用することが一般的となりました。そのため、表書きは毛筆ではなく、筆ペンでも大丈夫です。ただし、ボールペンで書くのは避けてください。
お年賀の水引は紅白蝶結び
お年賀に用いる掛紙は「のし付き」で、水引は「結び切り」と「蝶結び」のうち、「蝶結び」を選んでください。
水引は、種類ごとに意味が違うので気をつけましょう。「結び切り」は「何度も繰り返したくないこと」のときに使い、一方、「蝶結び」は何度あってもよいお祝い事に使います。新年を迎えることは何度、繰り返してもよいことですね。そのため、お年賀は何度でも結び直せる「紅白蝶結び」の水引をかけて贈ります。
お年賀とお歳暮の違いは?
お年賀とお歳暮は、ともに季節の挨拶です。しかし「違いは?」と考えると、わかりにくいですね。お年賀とお歳暮は、実は意味合いは同じで「贈る時期に違いがあるだけ」といわれています。
お歳暮も、お年賀も、お世話になった方々への感謝の気持ちと、これからのお付き合いに対する願いを込めて贈る物。贈る時期に違いはあっても、贈り物に込められた気持ちは確かに同じですね。
お年賀とお歳暮の贈る時期の違い
お歳暮を贈る時期は地方によって違いがあり、関東地方では12月上旬(1日~10日)、関東以外では12月中旬(10日~20日)といわれています。ただ、いずれにしても12月初旬から12月20日頃までに贈るのが基本的なマナーです。
お年賀とお歳暮は、一般的には以下のように贈る時期に違いがあります。
表書き | 贈る時期の目安 |
---|---|
お年賀 | 1月1日~1月7日頃まで |
お歳暮 | 12月初旬~12月20日頃まで |
お歳暮を贈ったあとにお年賀を贈る必要はある?
お歳暮とお年賀は贈る時期が近いので、「お歳暮を贈れば、お年賀は必要ない」と考えていらっしゃる方も多いことでしょう。しかし、一年の始まりと一年の締めくくりとなる時期、それぞれにきちんとご挨拶をすることは、人付き合いのうえでとても大切なことです。そのため、お歳暮とお年賀の両方を贈ることをおすすめします。
ただし、両方とも改まった品物を贈ると過度な印象となり、先方が恐縮してしまうこともあります。そのため、お歳暮を贈ったときは、お年賀を簡単な菓子折り程度にするとよいでしょう。
逆に、「お歳暮を贈りそびれてしまった」というときには、お年賀を改まったものにするといった方法もあります。お歳暮とお年賀は時期が近いため、両方のバランスを考えて贈る品を決めましょう。