忌中・喪中期間でもお歳暮を贈っても良い?
「お歳暮」は日頃お世話になっている人に感謝の気持ちを伝えるもので、「お年賀」のようなお祝いごととは違います。したがって、贈る方や贈られる方が喪中でも、お歳暮を贈ってもかまいません。ただし、忌中の場合はお歳暮を控えるのがマナーとされています。
「喪中」とは故人の七七忌(四十九日)を過ぎてから一周忌(一年間)のことであり、故人の魂が旅立つ四十九日までの間は「忌中」と呼びます。忌中の時期、故人のご家族は法事や故人の死後の手続きなどで忙しく、悲しみと忙しさで気落ちしていることが少なくありません。お歳暮を贈るなら、忌明け後(四十九日を過ぎてから)にしましょう。
自分が忌中の場合、お歳暮を贈っても贈られる側は気にしないことが多いですが、相手によっては死の「穢れ(けがれ)」がある人からの贈り物を気にすることがあります。したがって四十九日が過ぎてからお歳暮を相手に贈るのが無難です。
時期を逃した場合は「お年賀」ではなく「寒中見舞い」で
お歳暮を贈る場合は年内に相手に届かなければなりません。年内に届けるのが難しいとき、通常なら「お年賀」として年明けに品物を持参する方法がありますが、お年賀には「新年を慶ぶ」という祝いごとのため喪中の場合は使えません。代わりに「寒中見舞い」(寒中御見舞、寒中御伺など)として品物を贈りましょう。寒中見舞いは寒さが厳しい時期に相手を気遣う時候の挨拶であり、祝いごとには当たりません。
ただし、寒中見舞いの期間は、松の内(元旦~1月7日)が過ぎた1月8日から立春(2月4日頃)の前日までです。この時期を過ぎないようにしましょう。
【重要な注意点】適切な「のし」や「水引」を選ぶこと
喪中の場合のお歳暮は、のし紙も通常のお歳暮とは違うので注意しましょう。通常のお歳暮は紅白の蝶結びの水引が書かれたのし紙を使いますが、喪中の場合は水引なしの無地のかけ紙、または短冊を使います。これは、相手が喪中であっても自分が喪中であっても同じです。ただし、短冊は略式なのでビジネスの場合は正式なかけ紙を使いましょう。
喪中期間にお歳暮を贈る際のマナーと注意点
そのほかにも、相手や自分が喪中の場合に気をつけたいことがいくつかあります。特に、お歳暮を贈る相手が喪中の場合は、相手に対しての悲しみを思いやる気配りが欠かせません。具体的な例をあげてご説明します。
相手が喪中の場合、故人宛にお歳暮を贈らない
お歳暮を贈る際、故人宛に贈ってはいけません。喪中である故人のご家族につらい思いをさせてしまいます。お世話になった方が亡くなりご家族とお付き合いがない場合は、故人のご家族へお歳暮を贈る必要はありません。故人のご家族ともお付き合いがあり、お歳暮を贈り続ける場合には、故人のご家族宛に贈りましょう。ただし、お歳暮は感謝の気持ちを表す品として継続して贈り続けることが前提となっていますので、故人のご家族との「縁」がそれほど強いものでなければ、お世話になった当人が亡くなったのを機にお歳暮を贈ることをやめることが一般的です。
相手が喪中の場合、添える手紙の内容では祝いの言葉を避ける
お歳暮を宅配便などで送付する場合は、お歳暮に手紙を同封します。お歳暮に手紙を同封できない場合は、お歳暮の品が到着するころを見計らって、挨拶状が届くように別途郵送することが一般的なマナーです。これは喪中の場合でも同じですが、同封する手紙あるいは別送する手紙には「祝いの言葉」を使わないようにします。
自分が喪中の場合、故人宛にお歳暮が贈られてきた場合でもお礼状を書く
反対に、自分の家族が喪中の時に故人宛にお歳暮が贈られてきた場合はどうすればいいのでしょうか。恐らく先方は不幸を知らないか、不幸を知る前にお歳暮を手配してしまったのでしょう。
そういった場合は、贈り物に対するお礼状を出すのがマナーです。そして、お礼状は贈り物のお礼とともに当人が亡くなったことを知らせる内容にします。
喪中の時に選んではいけない品物は?
喪中の際に贈っていけないものは特にありませんが、紅白のものなど祝いごとを連想させる品物は避けるべきでしょう。お歳暮のマナーとして一般的に贈ってはいけないものを守れば、問題ありません。
贈り物を選ぶ際には相手の立場を思いやり、喪中に限らず贈り物のマナーを守りましょう。
相手や自分が喪中であっても、最低限気をつけるべきマナーをおさえていれば感謝の気持ちとしてお歳暮を贈ることができます。ただし、相手が喪中の場合は、不幸に遭った先方の気持ちを思いやる心配りが必要です。反対に自分が喪中の場合は、お歳暮を贈る相手にあまり気を遣わせないようにしましょう。