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おせち料理の意味と由来とは

公開日時:2018/08/22 10:00  更新日時:2022/11/09 11:35

いろいろな具材がお重に詰まっている、お正月料理のおせち。それぞれのおかずが入っている意味や由来を知っていますか?具材のいわれについて紹介します。

お正月におせちを食べる理由と歴史

おせち料理はいつ頃から食べられるようになったのでしょうか。その歴史は古く、奈良時代の頃まで遡ります。

中国から季節の節目を祝う「節」の文化が伝わると、奈良時代から平安時代にかけて、宮中では季節の節目に「節会(せちえ)」という宴が開かれるようになりました。節会では、節目のお祝いとして特別な料理である「節供(せちく)」が用いられており、それが今のおせちの起源となっています。

江戸時代になると、語呂合わせや縁起物を好む江戸の町人たちの間でこの風習が盛んに行われるようになり、五節句(1月7日、3月3日、5月5日、7月7日、9月9日)や新年を祝う節句が広く知られるようになりました。

そのなかでも重要だったお正月の料理は、特別に「御節供(おせちく)」と呼ばれ、大衆に広まるにつれて略して「おせち」と呼ばれるようになり、正月料理として定着していったといわれています。

今では、様々な縁起物や願いを込めた食べ物がおせち料理として振る舞われています。

おせち料理の具材のいわれとは

おせち料理には、黒豆や煮しめ、数の子など、必ず入っている料理や食材があります。実はその一つひとつに大切な意味があることをご存知でしょうか?

おせち料理に欠かせない具材の意味や、込められている願いなどをご紹介します。

れんこん

仏教では、仏様のいる極楽浄土の池には蓮の花が咲いているといわれていることから、れんこんはけがれのない植物だと考えられています。また、穴が多く空いているので先がよく見えることから、見通しの良い1年を祈るという意味も込められています。

伊達巻・錦卵

伊達巻には様々な説がありますが、元々は長崎で「カステラかまぼこ」と呼ばれていたものが、江戸に伝わった際に「見栄えが良く洒落ている」という意味の「伊達もの」から取って、「伊達(だて)巻」と呼ぶようになったともいわれています。巻物の形をしていることから、学問が成就するようにという意味も込められています。

錦卵は黄身と白身の二色が金銀のように鮮やかな料理で、「二色(にしょく)」と「錦(にしき)」が語呂合わせになっているともいわれています。
どちらも見た目が美しく、おせちを華やかにしてくれる料理として欠かせません。

栗きんとん

栗きんとんの「きんとん」は漢字にすると「金団」とも書き、お金や財宝、金の小判などを連想させる食べ物です。商売繁盛や金運を呼び寄せるという意味が込められています。

ごまめ・田作り

ごまめや田作りは、片口イワシなどの小魚を干して、醤油などで味付けした料理です。昔は、田んぼの肥料としてイワシを小さく刻んだものを灰に混ぜて使っていたことから、農作物の豊作を願う意味が込められています。

里芋

里芋は、種イモを植えると、子イモがたくさん付くので、子宝に恵まれるようにという願いが込められています。

鯛は「めでたい」にかけて、お祝いの席では欠かせない縁起物です。姿形も美しく、色も鮮やか、味も良いので、祝い事にはぴったりの魚です。

筑前煮(煮しめ)

根菜類と鶏肉などを一緒に煮た筑前煮や煮しめは、家族が仲良く一緒に結ばれるという意味を持っています。煮物に入れる具材にもそれぞれ意味があり、先ほど説明したれんこんや里芋も入っていることが多いです。

ごぼう

ごぼうは、土の中に根を張る野菜なので、家族の土台がしっかりするようにという意味や、家業がその土地に根付くようにという意味があります。

ぶり

ぶりは稚魚から成魚になるまでに呼び名が変わる出世魚です。そのため、ぶりを食べることで立身出世を願う意味があります。

えび

エビは腰を曲げているように見える姿から、腰が曲がるまで長生きできますようにと長寿を願う食べ物です。また、身の色が赤く美しいため、縁起物や魔除けとしての意味も含まれています。

かまぼこ

かまぼこの半月型は「日の出」を表す形として、新年を迎えるのにふさわしい料理のひとつです。紅白かまぼこは見た目も鮮やかで縁起が良く、紅は魔除けや慶びなどを表し、白は神聖さを表しています。

金柑(きんかん)

きんかんは「金冠」とも読めることから、金や宝などの財宝を意味しています。お正月に食べることで、生活の豊かさや金運を呼び込むという意味が込められています。

黒豆

「まめ」とは何事にも精を出すことや、体が丈夫なことを指す言葉です。そこから、黒豆にはまめに働き、1年元気に過ごせるようにという意味が込められています。 地域によって、わざとシワの寄るように黒豆を煮ることで、シワが出来るほど長生きできるようにと長寿の意味もあります。また、黒は魔除けの色とされ、1年の災いを祓うともいわれています。

くわい

くわいはおせちでしか見たことがないという人も多いと思いますが、冬野菜のひとつで「畑のくり」とも呼ばれています。くわいの形を見るとわかるように、大きな芽が出るので「めでたい」とかけて縁起物としてや出世などの願いが込められています。

こんにゃく

真ん中がねじれた手綱こんにゃくには、手綱を締めるように心を引き締めて己を戒め、戦いに備える心を養うという武家社会のときの意味があります。近年では、結び目があることから、良縁や家庭円満などの縁起物としても食べられています。

昆布巻き

昆布は「よろこぶ」との語呂合わせで、縁起物としてお正月の鏡飾りにも使われています。また昆布を「子生」の字を当て、子宝を願うという意味も込められています。おせち料理では、昆布巻きの他にも結び昆布などが入っています。

数の子

ニシンの卵である数の子は、とてもたくさんの卵が付いていることから、子孫繁栄や子宝成就などの願いが込められています。

かぶ(菊花かぶ)

菊は日本の国花で、昔から祝い事にもよく使われている花です。菊は邪気を払うといわれており、かぶを菊の花に見立てた「菊花かぶ」には長寿を願うという意味が込められています。

なます

なますの中でも紅白なますは、めでたい配色でお祝いの水引にも見えることから、縁起の良い食べ物とされています。大根とニンジンはどちらも大地に根を張る野菜なので、家族の土台をしっかりと支えるという意味も含まれています。

お多福豆

見た目がふっくらとしていて、おたふくの顔に似ていることから「お多福豆」と呼ばれています。その名の通り、たくさんの福を運んでくれる食べ物として、おせち料理はもちろん、お祝いの席でもよく使われています。

祝い肴とは

ご紹介した料理のなかでも、お正月のおせちに、特に欠かせないのが「祝い肴」です。一般的に関東では「田作り、黒豆、数の子」の3つと餅があればお正月を迎えることができるとされており、3つを総称して「祝い肴三種」と呼ばれています。
田作りには五穀豊穣、黒豆には無病息災、数の子には子孫繁栄や子宝成就などの願いが込められており、お重に詰める際には一番上の重につめて新年を迎えます。 関西では、田作りや黒豆の代わりに、商売繁盛の願いが込められた「たたきごぼう」が祝い肴とする地域もあり、文化や風習の違いによっても地域独特の祝い肴があるのもおせち料理の良いところです。

さいごに

お正月に食べると思っていたおせち料理は、元をたどれば節句のお祝いとして食べられていたものです。おせち料理の一つひとつには、家族の幸せを願う意味が込められています。 新しい1年に福を呼び込むためにも、おせちの由来を知り、しっかりと噛みしめながら食べてみると良いのではないでしょうか。

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