日本では女性が片思いの人にチョコレートを贈り、想いを伝える日として始まったバレンタインデー。1980年代からはその「想い」が拡大解釈され、身近な人への感謝や好意を伝える日となっていきました。そして日本独特の文化「義理チョコ」が社会に根付いたのです。 しかし、近年では義理チョコを疑問視する傾向が強くなってきています。義理チョコの風習は続けるべきか止めるべきか?賛否両論の意見を探ってみました。
大切なコミュニケーション?憂鬱の元?
まず、義理チョコ賛成派からの最も多い意見は、男女ともに「社内コミュニケーションのひとつとして続けていきたい」というものです。女性から普段お世話になっている上司や同僚へ、年に一度感謝の気持ちを表す日。男性側も、社内年中行事のひとつとして楽しみにしているという意見が見られます。
ホワイトデーのお返しもバランス良く行われており、社内コミュニケーションツールとして役立っている場合は、義理チョコ習慣は楽しいイベントとして歓迎されています。このような習慣がストレスなく続けられているということは、居心地の良い職場であることの証明とも言えそうです。
一方、反対派から見られる意見はさまざまですが、男女ともに「面倒くさい」という一言につきるようです。女性側は、チョコレートを用意しなければいけないというプレッシャー、出費への悩みから、このシーズンが来ると毎年憂鬱になるという人が大勢います。特に、女性が少なく男性が多い職場で義理チョコ習慣が義務化されている場合の出費は、数万円に及ぶという例も。これは深刻な悩みです。
男性側も同様です。大勢の女性社員から共同でもらってしまった場合、ホワイトデーの出費は相当な金額になります。特に所帯のある男性の場合、その負担は家計に反映され、しかも準備は奥様がするとなれば、この時期の憂鬱は家庭問題にも発展しかねません。とは言え、お返しを完全無視する訳にもいかず、モヤモヤとしている男性も多いのです。
義理チョコ習慣の転換期 義理チョコ禁止、募金活動へ移行する会社も
このような社内の不必要な憂鬱を取り払うべく、この数年、「義理チョコ習慣は禁止」とする会社も出てきています。また、単に禁止とするだけではなく、その分の出費をバレンタイン募金として徴収し、慈善団体などへ寄附するという活動を起こしている例もあります。
最近では売り上げの一部が募金になるチョコレートも数多く見られるようになりました。バレンタインデーをきっかけに、普段見過ごしている社会の現状を社内で共有するのもいいかもしれません。いずれにしても、義理チョコ習慣はそろそろ見直しの時期を迎えていると言えそうです。