お礼状の書き方のマナー・ポイント3つ
お礼状の書き方のマナーは3つの基本的なポイントを覚えておけば、送る相手に失礼のないお礼状を書くことができます。ポイントをおさえてお礼状を書いてみましょう。
お歳暮をいただいたら電話・手紙・葉書のいずれかでお礼を伝える
お歳暮をいただいたら、相手との関係性によって電話や手紙、葉書でお礼を伝えます。相手が親しい間柄(両親、兄弟、親戚等)であれば、電話でお礼を伝えても構いませんが職場の関係者など、ビジネスの場合は、手紙で丁寧にお礼をするようにしましょう。
基本的に手紙を書く際には縦書きが多いですが、場合によっては、横書きでも問題ありません。また、手紙以外にも葉書で贈ることも可能です。お歳暮をいただいたら、相手との関係を配慮しながら電話・手紙・葉書でお礼の気持ちを伝えましょう。
できるだけ早くお礼を伝えるようにする
お歳暮をいただいた際には、速やかにお礼を伝えることが重要です。電話でお礼をする場合は、届いたらすぐに伝えることができますが、手紙や葉書の場合には相手に届くまで日数がかかってしまいます。日にちが開き過ぎないように事前に手紙や葉書を用意しておくとよいでしょう。また、年末は忙しい人も多く贈るのに時間がかかってしまう場合は電話で先に一報入れておくことで、失礼のない対応ができます。
できるだけ早くお礼を伝えるようにする
基本的にお歳暮に対してお礼の品は不要です。その代わり、お歳暮をいただいたら速やかにお礼状を送るようにしてください。お礼の品を贈ってしまうと、相手側に気を遣わせてしまいます。もし、お歳暮のお礼を贈りたい場合は少しだけ時期をずらして寒中見舞いなどの名目で贈るとよいでしょう。時期がずれていれば、お歳暮のお礼という形にはならないので失礼に当たりません。
お礼状の文例【個人用】
それでは、個人に宛てたお礼状の文例を紹介していきます。お礼状には様々な書き方がありますが、基本的な文章を覚えておけば、相手によって応用することも可能です。
親戚・友人・知人への場合(お礼状のみ)
師走の候、皆様にはますますご健勝のこととお喜び申し上げます。
さて、このたびは大変結構なお歳暮の品をいただき本当にありがとうございました。
いつもと変わらぬお心配りに大変感謝いたします。
寒さもいっそう厳しくなる折から皆様どうかご自愛くださいますようお祈り申し上げます。
敬具
【ポイント】
親戚や友人、知人へのお礼状はくだけた文面でも構いません。
全体の構成として頭語、時候の挨拶、お歳暮に対するお礼、相手への配慮、結語といった流れで書くとまとまりやすいでしょう。
親戚・友人・知人への場合(お礼の品あり)
寒さも一段と厳しくなってまいりましたが、皆様、お健やかにお過ごしのことと存じます。
この度はご丁寧にお歳暮の品をお贈りいただきまして、本当にありがとうございました。
好物を覚えていてくださって家族一同たいへん喜んでおります。いつも細やかなお心配りを頂き、心より御礼申し上げます。
本日別便にて心ばかりの品を送らせていただきました。ご笑納いただければ幸いです。
厳冬に向かいます折からお体をご自愛下さいますようお祈り申し上げます。
略儀ながら取り急ぎ書中にてお礼申し上げます。
敬具
【ポイント】
本来、お歳暮にお返しを贈る必要はありませんが、寒中見舞いなど時期をずらして贈ると相手にも喜ばれるでしょう。贈る際には一文を添えることで、お礼の気持ちも伝わります。
全体の構成として頭語、時候の挨拶、お歳暮に対するお礼、お返しに関する一文、相手への配慮、結語といった流れになります。 家族のエピソードなど交えると定型文にならずに相手により感謝の気持ちが伝わりやすいでしょう。
自分が仲人を受け持った新郎新婦への場合
年の瀬の、寒気いよいよ厳しい季節となりました。皆様にはお変わりなくお過ごしでしょうか。
この度は大変結構なお品を頂き誠に有難うございました。常日頃から貴家のご両親様には特別お世話になっております上に、お二人からのお心遣いに本当に感謝しております。
先日も、貴家の親子関係の素晴らしさを妻の◯◯と話しておりました。皆様御一家とのおつき合いは私どもの悦びではございます。
ご好意は大変有難く存じますが、今後はあまりお気遣いになりませんようお願いいたします。
今年は寒さが厳しく、くれぐれもお体をご自愛下さい。略儀ながら書中にてお礼申し上げます。
敬具
【ポイント】
自分が仲人をしたという立場上、ある程度の年齢差や立場の差があります。そのため、通常のお礼状よりも堅い文章が好ましいです。全体の構成として、頭語、時候の挨拶、お歳暮に対するお礼、関係性を配慮した一文、相手への配慮、結語といった流れになります。今後も親しい関係が続く場合は少しくだけた内容でもかまいませんが、なるべく相手に気を遣わせないように配慮することも大切です。
お礼状の文例【ビジネス・会社内用】
ビジネスシーンにおいてお礼状は重要な役割を果たします。上司や部下など立場によってお礼状の書き方も変わってきますので、しっかりと覚えておきましょう。ここでは、会社内のお歳暮に対するお礼状の文例を紹介していきます。
部下から上司へ送る場合
師走に入り慌ただしい日々が続いております。〇〇課長には益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。
この度は思いがけず結構なお品を頂き、本当に有難うございました。 ご高配の程、厚く御礼申し上げます。
略儀となりますが、書中をもって御礼申し上げます。
寒さもいっそう厳しくなる折から、くれぐれもお体をご自愛下さい。
敬具
【ポイント】
部下から上司へ送る場合は通常のお礼状と同じ形で構いません。今後上司からのお歳暮を断りたい場合は文例に「お気遣いなさらないでください」など、その旨を伝える一文を入れましょう。
上司から部下へ送る場合
歳末の候 ○○様におかれましてはますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
この度は結構なお品をお送りいただきまして有難うございました。早速家族でありがたく頂きました。
寒さはこれからが本番ですのでお体をご自愛ください。 略儀ながら書中にてお礼申し上げます。
敬具
部下からのお歳暮に対してもお礼状を贈ることはマナーです。部下との関係性によってお礼状の文面も変わってきます。1年を振り返った内容や激励の言葉を添えても喜ばれるでしょう。
また、今後のお歳暮を断る場合「今回は謹んで拝受させていただきますが、今後はお気遣い無きようお願いいたします」といった一文を添えて贈り伝えることもできます。
お礼状の文例【ビジネス・取引先用】
続いて、取引先に対するお礼状の文例を紹介します。大切な取引先だからこそ、速やかにお礼状を送るように心がけましょう。親密な取引先なら電話で一報入れた後に丁寧なお礼状を書いても構いません。ここでは、はがきやOA用紙で送る場合の文例を紹介していきます。
はがきで送る場合
代表取締役 ○○様
拝啓
初冬の侯 貴社におかれましては益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。
先日はご丁寧に、お歳暮の品をお送りいただきまして、大変恐縮しております。有難く拝受させていただきます。
本年、弊社が大変お世話になっておりましたのに、このようなお気づかいを賜り、大変うれしく思います。
末筆ではございますが、貴社のご発展と皆様のご健勝をお祈り申し上げます。
略儀ながら書中にて御礼申し上げます。
敬具
○○株式会社
代表取締役 ○○○○
【ポイント】
取引先にお礼状を送る場合は、個人間ではなく会社間でお礼を伝えるようにします。宛名をつける場合は会社名と代表者名を記載します。贈り先も会社名と代表者名から贈るようにしましょう。全体的な構成は通常のお礼状と同じですが、お世話になった旨と発展を祝う一文があるとより良いお礼状になります。
OA用紙で贈る場合(お礼状のみ)
◯◯様
謹啓
師走の候 貴社におかれましてはますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
日頃よりお力添えを頂き、非常に心強く存じております。
この度は結構なお品を戴きまして、誠に有り難うございました。お心遣いに恐縮しております。弊社が成長、発展できたのは皆様のご指導とご助力の賜物でございます。ありがたく御礼申し上げます。
年末余日少なき折から、皆様の一層のご健勝と貴社のますますのご発展を心からお祈りいたします。 末筆ではございますが、貴社のご発展と皆様のご健勝をお祈り申し上げます。
略儀ながら書中にて御礼申し上げます。
謹白
◯◯株式会社
代表取締役 ◯◯
【ポイント】
パソコンで出力して送るお礼状の場合は、文面の形式が少し異なるので、余白が多くなったり、バランスが崩れないように文例を参考に調節しながら文章を作ってください。
OA用紙で贈る場合(お礼の品あり)
◯◯様
謹啓 師走の候 貴社におかれましてはますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
この度はお心尽くしのお歳暮の品をお贈りいただき、誠にありがとうございました。
貴社には、日頃よりお力添えを頂き、非常に心強く思っております。今後とも何卒ご指導のほどよろしくお願い申し上げます。
本日別便にて、心ばかりの品をお贈りいたしました。お口に合うかどうかわかりませんが、どうぞご笑納下さい。
寒さはこれからが本番でございます。
ご自愛の上、よいお年をお迎えくださいますよう、お祈りいたします。
謹白
◯◯株式会社
代表取締役 ◯◯
お歳暮をお断りする場合
お歳暮だけの関係性が続いてしまうとお互いに負担になってしまいます。そんな時は、お礼状でお歳暮をお断りする旨を伝えておきましょう。
今回贈られてきたお歳暮をお断りする場合(返送)
初冬の候、ご繁忙な日々をお過ごしのことと拝察申し上げます。
平素は格別のご懇情を賜り、ありがたく厚くお礼申し上げます。
ご厚意は大変有難く存じますが、弊社では取引先様からの贈答を辞退させていただいているため受け取れず誠に申し訳ございません。何卒御理解の上、ご了承賜りたくお願い申し上げます。
大変失礼とは存じますが、贈り頂いた品はお気持ちだけ頂き、別便にてご返送させていただきました。
厳冬に向かいます折からお体をご自愛下さいますようお祈り申し上げます。
略儀ながら書中にて御礼ならびにお詫びを申し上げます。
敬具
【解説】
最近では、お歳暮の習慣をお断りしている企業もあります。知らずに贈られてきてしまう場合もありますので、断りたい場合はその旨をお礼状に添える必要があります。こちらの事情をしっかりと伝えれば、返送しても不快感を与えることはありません。
次回以降のお歳暮をお断りする場合
年の瀬の、寒気いよいよ厳しい季節となりました。 皆様にはお変わりなくお過ごしでしょうか
この度はご丁寧にもお歳暮を頂戴しまして有り難く存じます。 いつも細やかなお心配りに恐縮いたしております。
この度の好意は大変うれしく思いますが、今後このようなお気遣いは無用にして下さるよう、季節のご挨拶をご辞退させていただきたくお願いいたします。
寒さもいっそう厳しくなる折から、皆様のご健勝と、明年におけるご多幸をお祈り申し上げます。まずは取り急ぎお礼申し上げます。
敬具
【ポイント】
お歳暮を返送することに抵抗を感じる際には、次回以降のお歳暮をお断りする一文を添えたお礼状を贈りましょう。明確に相手に伝えれば今後贈られてくることはありません。
頭語・時候の挨拶・結語の例まとめ
手紙には頭語・時候の挨拶・結語といったルールが存在します。それぞれの意味やルールを覚えておくことで、お礼状を書く時にもすぐに利用することが可能です。基本的な意味やルールを覚えて相手に失礼のないように心がけましょう。
頭語
手紙は頭語にはじまり結語で終わります。頭語と結語はセットで使うことがルールなので、片方だけを手紙に書くことはできません。また、手紙を送る相手によって頭語を変える必要があるので、相手との関係性を踏まえて頭語を選ぶようにしましょう。
「拝啓」「拝呈」「啓上」・・・一般的な手紙を出す場合に使える頭語です。面識のない相手にも送ることができるため、手紙ではよく使われる頭語のひとつです。
「謹啓」「恭敬」「粛啓」・・・より丁寧な手紙を出す場合に使われます。お客様や目上の方に使われることが多く、改まった手紙にも利用されます。
時候
頭語に続く礼儀文として使われるのが時候です。月別にその月の季節や天候に応じた言葉を手紙に書きます。基本的に季語を含めた挨拶が時候となります。その後、安否を確認する挨拶文が続くため、セットで覚えておくとスムーズに書くことができるでしょう。
「12月の季語」・・・師走、寒冷、初冬、歳末、歳晩、明冷、初雪、霜夜、霜寒など
例文① 「寒気厳しき折から」
例文② 「寒気いよいよ厳しく」
例文③ 「年の瀬もいよいよ押し詰まり」
「1月の季語」・・・初春、新春、迎春、小寒、大寒、厳寒、酷寒、極寒、烈寒など
例文① 「初春とはいえ厳しい寒さが続いております」
例文② 「いよいよ寒気がつのり」
例文③ 「今年は例年にない寒さとのことで」
結語
結語は、頭語とセットで使います。頭語と同様に結語も単体で利用するのはマナー違反です。必ず、頭語とセットで利用しましょう。
「敬具」「敬白」「拝具」・・・一般的な手紙に使われる結語です。拝啓、拝呈、啓上などとセットで利用します。
「謹言」「謹白」「敬白」・・・丁寧な手紙、主にお客や上司、先輩などに使われる結語です。謹言、謹白、敬白などとセットで利用します。
基本的なお礼状の書き方とマナーを覚えておけば、お歳暮をいただいた際にもスムーズにお礼状を返せます。
また、シチュエーション別の文例を覚えておけば、どんな相手にも速やかにお礼を贈ることができます。お礼状の書き方とマナーを覚えて、お礼の気持ちを届けてみましょう。