おせち料理に「数の子」が入っている意味と作り方
数の子は、おせち料理としてしか食べる機会がないかもしれませんが、子供も好きな料理のひとつです。祝い肴の一つの数の子には、めでたい意味が含まれています。おせち料理に入れられている由来やレシピを紹介します。
数の子は、おせち料理としてしか食べる機会がないかもしれませんが、子供も好きな料理のひとつです。祝い肴の一つの数の子には、めでたい意味が含まれています。おせち料理に入れられている由来やレシピを紹介します。
おせち料理に数の子を入れる意味
数の子はニシンの卵のことです。ニシンは漢字で「二親」と当てることができ、非常に多くの卵を持つことから、「たくさんの子に恵まれますように」「我が家が代々栄えますように」と願っておせち料理に使われています。
数の子は定番中の定番のおせち料理で、地域差なく使われる具材として知られています。子宝や子孫繫栄のいわれがある縁起物として食べるのはもちろんのこと、塩気のある味はお酒にも相性がぴったりです。
干し数の子と塩数の子の違い
数の子は、干し数の子と塩数の子の2種類あります。
干し数の子は、かちかちになるまでしっかりと天日干しされた数の子のことで、現代のように冷蔵庫がなかった時代に、よく使われていました。
食べるときには米のとぎ汁に2~3日浸けて戻します。戻すのに手間がかかることや製造コストが高いこともあって、現代ではなかなか選ばれなくなっています。
一方、塩数の子は干さずに塩漬けしたもので、近代になってから普及しました。1日程度水に浸けて塩を抜けば食べることができ、干し数の子よりも手軽で調理もしやすく、安価に手に入るため、今ではほとんどの家庭で塩数の子が選ばれています。
祝い肴とは?
祝い肴とは、おせち料理のなかでも代表的な具材三種のことで、他のお祝い料理よりも最初に食べるのが習わしです。
中身は、関東では「黒豆」「数の子」「田作り」、関西では「黒豆もしくは田作り」「数の子」「たたきごぼう」が選ばれます。数の子は関東・関西どちらの祝い肴にも含まれる具材で、お正月にはなくてはならないものとして重宝されています。
手作りのおせち料理にチャレンジしようと考えているなら、数の子の使い方と味付け方法はしっかりとマスターしておきましょう。
数の子の塩抜きの仕方とレシピ
ここでは、塩数の子の塩抜き方法と基本の味付けをご紹介します。
数の子の塩抜き方法
材料
数の子…300g
食塩…小さじ3杯(約15g)
水…3,000㏄
手順
1・水1,000ccに食塩を小さじ1杯分入れてよく混ぜます。
2・1に数の子を入れて3~4時間浸します。
3・1と同じ食塩水をもう一つ作って、2の数の子を移し、3~4時間浸したら、数の子を取り出し、食塩水をもう一度作り、今度は6~8時間浸します。
4・食塩水から数の子を取り出して水切りしたら、塩抜き完了です。
数の子の薄皮は、剥いてもそのままにしていてもどちらでも構いません。
数の子の大きさによって塩の抜け具合は違うので、上記分量を基準として、調整しながら塩抜きを行いましょう。塩が抜け過ぎると苦みが出てくるため、苦いと感じた場合は濃度の濃い食塩水に浸してください。
数の子基本の味付け
材料
塩抜きした数の子…300g
薄口醤油…大さじ5杯
だし汁…3カップ
酒…大さじ1/2杯
レシピ
1・調味料をすべて鍋に入れて煮立たせます。
2・1をしっかりと冷ましてから密封容器に移し、数の子を入れて一晩寝かせます。
3・器やお重に盛り、かつお節をかけたら完成です。
どれくらい日持ちする?冷凍してもいい?
数の子は塩抜き前であれば、およそ2~3カ月日持ちしますが、塩抜き後は1週間程度しか日持ちしません。そのため、食べられる分だけを塩抜きして味付けするようにしましょう。
しかし、気を付けていても、余ってしまうこともあるでしょう。そんなときは、冷凍保存がおすすめです。フリーザーバックに調味液とともに入れて冷凍すれば、1カ月程度持たせることができます。ただ、冷凍保存の影響で、数の子ならではのコリコリとした歯ごたえが損なわれてしまうこともあるため気を付けましょう。また、取り出して食べるときは、自然解凍をしてください。
余ったらコレ!数の子のリメイクレシピ
数の子が余った場合には冷凍保存という手もありますが、数の子ならではの食感が損なわれてしまうのであれば、保存をせずに食べきりたいと思いますよね。でも、醤油とかつおの味付けは飽きた…ということも。ここでは、そんな時に役立つ数の子リメイクレシピをご紹介します。
数の子の簡単サラダ
材料(2~3人分)
数の子…ひと腹
大根…10cm程度
マヨネーズ…大さじ1~2杯
顆粒だし…2つまみ
醤油…少々
塩…少々
レシピ
数の子を小さく、大根は細切りにします。
1と調味料をすべて混ぜ合わせます。
2を器に盛り、お好みによってわさびを添えれば完成です。
数の子は、細かく刻みすぎない方が、食感がしっかり残ります。また、味付けの際にわさびがあると、大人向けのピリッとした味わいになります。お好みに合わせて準備してください。
松前漬け
材料(2~3人分)
数の子…ひと腹
するめ…40g
昆布…15g
ニンジン…40g
酒…1カップ
醤油…1/2カップ
塩…少々
レシピ
1・するめを軽くあぶって細くさきます。昆布はするめと同じ太さに切り、ニンジンは約5cmの細切りにします。数の子は手で食べやすい大きさにちぎっておきます。
2・保存容器に1と調味液を入れて軽く混ぜて合わせ、約1週間漬けます。漬けている間に調味液が少なくなってきたら継ぎ足してください。
おいしい数の子を選ぶには
美味しい数の子には特徴があります。特に見ておきたい3つのポイントを紹介します。
鮮やかな黄金色で透明感があること
不自然に白くなっている数の子は漂白されている可能性があるので注意しましょう。
身が欠けておらず、ふっくらしていること
卵と卵の間が空いていたり、身がこぼれていたりするものは、鮮度が落ちている可能性があります。大きくふっくらとしているのが理想です。
薄皮が付いていること
薄皮が付いているのは塩抜きをしていない証拠です。数の子は塩抜きをすると、そこから日ごとに鮮度が落ちるため、購入時点では塩抜き前のものを選ぶことをおすすめします。
数の子は塩抜き前のものであれば十分日持ちする食材とはいえ、やはり鮮度は大事です。
上記3点を踏まえた上で、調理する直前に購入するようにしましょう。
さいごに
数の子は、子どもから大人まで誰もが大好きなおせち料理の定番です。
食べられるようにするには少し手間はかかりますが、難しい調理テクニックは必要なく、おせち料理初心者でも美味しく作ることができます。慣れてきたら、普段のおかずの1品やおつまみに作るのもおすすめです。