デカ過ぎるサトイモ「八頭」は何故おせちで食べるのか。
おせち料理の煮しめに使われる「八頭」は、サトイモの一種です。サトイモの一種というと、コロンと丸く可愛らしいお芋をイメージする方が多いかもしれませんが、八頭はそのイメージと異なり大きくて入り組んだ形をしています。では、何故おせち料理で八頭が食べられるようになったのでしょうか。
デカ過ぎるサトイモ「八頭」は何故おせちで食べるのか。
おせち料理の煮しめに使われる「八頭」は、サトイモの一種です。サトイモの一種というと、コロンと丸く可愛らしいお芋をイメージする方が多いかもしれませんが、八頭はそのイメージと異なり大きくて入り組んだ形をしています。では、何故おせち料理で八頭が食べられるようになったのでしょうか。
分裂せず、固まって大きくなったサトイモが八頭と呼ばれる
サトイモはインドやインドネシアが原産です。山芋、自然薯のように自生する芋に対して、里で育てられることから“里芋”と呼ばれています。稲作より先に日本に伝わったと言われ古い歴史を持ち、また江戸時代までは芋といえば、ジャガイモやサツマイモではなくサトイモが一般的だったほど人々の生活に根付いていました。サトイモは現在も全国で広く生産されていますが、八頭は、千葉県や茨城県など、関東地方が中心です。11月頃から出回り始め、お正月を前にした12月中旬頃から旬を迎えます。 普通サトイモは、種芋から育てます。まず種芋に親芋ができて、その親芋からいくつもの子芋が分球し、さらにその子芋から孫芋が分球します。お店で一般的に売られているサトイモは、この子芋や孫芋の部分です。
このように、一つの種芋から親、子、孫と続き、たくさんの芋に増えることから、サトイモは子孫繁栄の象徴 とされるようになりました。サトイモの一品種である八頭は、親芋、子芋はできますが、分球せずに、ごつごつした大きな一塊になります。まるで、頭が八つもくっついているように見えることから、「八頭」(ヤツガシラ)という名が付きました。八頭は、サトイモの持つ子孫繁栄のイメージに加えて、末広がりの「八」 という縁起が良い漢字が使われることや、人の頭(トップ) になれるようにという願いを込めて、お正月のおせち料理に使われています。
粘り気が少なくホクホクとした八頭
八頭は、一般的なサトイモと比較して肉質がしっかりしており、ホクホクとした食感が特徴です。粘りはどちらかというと少なく、ほんのりした甘みも感じられるほか、一般的なサトイモよりも栄養価が高いと言われています。その複雑な形ゆえに、皮がむきづらいのが難点でしたが最近、美味しさはそのままに、丸い球状で格段に皮が剥きやすい「丸系八つ頭」という品種も出回るようになりました。 毎年何気なく食べているおせち料理でサトイモだと思っていたものは、実は「八頭」だったのです。その知識はなかったけれど、いつもと食感が違うと感じていた人もいるのではないでしょうか。ぜひ一度調理前の「八頭」を見てみてくださいね。