意外と知らない!?おせち料理でも出てくる「口取り」ってどういう意味?
お正月といえば欠かせないのが「おせち料理」。近年では手作りにこだわるご家庭よりも、豪華で見た目も美しい「お取り寄せおせち」を選ぶ方が増えてきました。重箱にぎっしりと詰められた料理のひとつひとつには、実は深い意味が込められていることをご存じでしょうか?なかでも「意外と知らない」と言われるのが「口取り(くちとり)」です。おせち料理に登場する口取りとは何か、その意味や由来をひも解いてみましょう。
口取りとは?おせち料理の中の“甘い存在”
おせち料理の「口取り」とは、祝い肴のひとつで、主に甘みのある料理を指します。
たとえば、伊達巻、栗きんとん、かまぼこ、錦玉子などが代表的です。見た目が鮮やかで食べやすく、子どもから大人まで人気の品が並ぶのが特徴です。
「口取り」という言葉は「口に取るもの」が語源で、祝いの場で最初に口にする料理という意味が込められています。現代ではおせちの中でも“甘い前菜”のような位置づけになっており、祝いの席を華やかに彩る重要な役割を担っています。
意外と知られていない「口取り」の由来と意味
1. 宴の始まりを告げる料理
もともと「口取り」は、正月や祝いの席で出される口取り菓子が由来と言われています。食事の最初に口に含むことで、宴の始まりを知らせる役割があったのです。その名残が現在のおせち料理にも受け継がれています。
2. 甘い料理=喜びの象徴
栗きんとんの黄金色には「金運・財運上昇」の願いが込められ、伊達巻は「学問成就」や「文化の発展」を象徴しています。これらが口取りとして並ぶのは、単に味や彩りだけでなく、家族の幸せや繁栄を祈る意味があったのです。
3. 子どもから楽しめる縁起物
おせちは大人向けの味付けが多い中で、口取りは甘く食べやすいため子どもにも人気。お正月に家族全員で食卓を囲む際、世代を超えて楽しめる料理としての意味も持ち合わせています。
東西で異なる「祝い肴三種」も口取りの一種
「祝い肴三種」も口取りの一種です。関東圏では、「黒豆」・「かずのこ」・「田作り」の三種が祝い肴三種ですが、京都をはじめ関西では、「黒豆」・「かずのこ」・「たたき牛蒡(ごぼう)」とすることが多いようです。
・黒豆
マメに(元気に)働けるようにという語呂合わせから、健康や長寿を意味しています。関西では「しわが寄らないように(年をとらないように)という意味で丸くふっくらと、関東では「しわだらけになるまで長生きできるように」と、わざとしわが入るように煮ます。
・かずのこ
子孫繁栄を意味します。
・田作り
硬口イワシの稚魚を乾燥させて甘辛いタレにからめたもので、ごまめとも呼ばれています。
ごまめは「五万米」と書き、どちらも五穀豊穣を表しています。昔は高級な肥料としてイワシが用いられていたことに由来します。
・たたき牛蒡
やわらかく煮たごぼうを叩いて身を開き、開運の縁起をかついだものです。
口取りは他のおせち料理と同様、地域によってさまざまな特色があります。おせち料理でしかお目にかからないようなものも多いため、最もお正月らしい料理とも言えます。
口取りはどこに入っている?重箱と意味の関係
おせち料理は重箱に詰められますが、重ごとに意味があるのをご存じでしょうか。
一の重 … 祝い肴、口取り
二の重 … 焼き物(鯛や海老など)
三の重 … 煮物
与の重 … 酢の物や和え物
このように「口取り」は一の重に入ります。つまり、一番上に置かれる重箱に盛り込まれることで、最初にふたを開けたときに目に入り、食事の始まりを告げる大切な料理であることがわかります。
お取り寄せおせちで楽しむ口取りの魅力
現代では多忙な年末をゆっくり過ごすために、「お取り寄せおせち」を注文するご家庭が増えています。高級料亭や有名ホテル監修のおせちには、伊達巻や栗きんとんなどの定番口取りが美しく盛り付けられ、彩りや味わいのバランスが絶妙です。
さらに最近のお取り寄せおせちは、和だけでなく洋風や中華風の口取りを加えたバリエーションも人気。チーズやスイーツのような甘味を取り入れた「新しい口取り」も登場しており、伝統と現代の味わいを同時に楽しめるのも魅力です。
まとめ:おせち料理の口取りに込められた意味を知って味わう
おせち料理の中で「意外と知らない」と言われる口取り。
「口に取るもの」という語源
宴の始まりを告げる役割
甘さと華やかさで祝いの席を盛り上げる意味
これらを知ってから食べると、伊達巻や栗きんとんのひと口が、より特別なものに感じられるはずです。
今年のお正月は、ぜひお取り寄せおせちで伝統の口取りを楽しんでみませんか?華やかで美しい重箱を開いた瞬間、甘い口取りが迎えてくれることで、家族の一年が笑顔で始まることでしょう。