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意外と知らない!?おせち料理でも出てくる「口取り」ってどういう意味?

公開日時:2018/08/22 10:00  更新日時:2022/11/09 13:42

おせち料理には、基本的に「祝い肴三種」・「口取り」・「酢のもの」・「焼きもの」・「煮もの」が入っていますが、「口取り」とはどのような料理を指すのでしょうか。

意外と知らない!?おせち料理でも出てくる「口取り」ってどういう意味?

おせち料理には、基本的に「祝い肴三種」・「口取り」・「酢のもの」・「焼きもの」・「煮もの」が入っていますが、「口取り」とはどのような料理を指すのでしょうか。

口取りとは「酒の肴」のこと

「口取り」とは、「口取り肴」の略語で、饗膳(きょうぜん)で最初に出す料理のことを言います。饗膳はおもてなし料理を意味する言葉で、おせち料理や会席料理などが、これにあたります。
口取り肴は、かまぼこやきんとんをはじめ肉・野菜・魚など、海の幸と山の幸の両方を使用した甘みのある料理を1枚の皿に盛り合わせて、お吸い物とともに出す、いわゆる「酒の肴」となる料理 です。
日本古来の本膳料理(ほんぜんりょうり)では、勝栗(かちぐり)、熨斗鮑(のしあわび)、昆布を三方にのせ、口取り肴として供していました。
おせち料理は年神様(としがみさま)をもてなすためのお供え料理ですが、現在では、年始の挨拶に来るお客さんをもてなす料理の意味合いもあるため、口取りが入っていると考えられます。口取り肴は饗膳のなかでも最初に食べる料理なので、重箱のいちばん上の「一の重」に、縁起がいいとされる奇数(5品、7品、9品)の料理が詰められます。

おせち料理で使われる口取り肴とその意味

おせち料理の口取りには、紅白かまぼこ、栗きんとん、昆布巻き、伊達巻き、魚の甘露煮などの甘めの料理が一般的です。それぞれの料理には縁起を担ぐいわれがあります。

・紅白かまぼこ
半円形の形から初日の出を意味しています。紅白はおめでたい色の組み合わせとして使われますが、赤は邪気を払い、白は清らかな心という意味があります。

・栗きんとん
古来の本膳料理の「勝栗」が由来です。きんとんは「金団」と書き、黄金色の財宝を意味しており、商売繁盛や金運をもたらすとされています。

・昆布巻き
「喜ぶ」の語呂合わせです。「巻」は書物を意味しており、学問や教養が成就するという願いが込められています。

・伊達巻き
「伊達」は華やかさを表す言葉で、「巻」は昆布巻きと同じように書物を意味しています。

東西で異なる「祝い肴三種」も口取りの一種

「祝い肴三種」も口取りの一種です。関東圏では、「黒豆」・「かずのこ」・「田作り」の三種が祝い肴三種ですが、京都をはじめ関西では、「黒豆」・「かずのこ」・「たたき牛蒡(ごぼう)」とすることが多いようです。


・黒豆
マメに(元気に)働けるようにという語呂合わせから、健康や長寿を意味しています。関西では「しわが寄らないように(年をとらないように)という意味で丸くふっくらと、関東では「しわだらけになるまで長生きできるように」と、わざとしわが入るように煮ます。

・かずのこ
子孫繁栄を意味します。

・田作り
硬口イワシの稚魚を乾燥させて甘辛いタレにからめたもので、ごまめとも呼ばれています。
ごまめは「五万米」と書き、どちらも五穀豊穣を表しています。昔は高級な肥料としてイワシが用いられていたことに由来します。

・たたき牛蒡
やわらかく煮たごぼうを叩いて身を開き、開運の縁起をかついだものです。


口取りは他のおせち料理と同様、地域によってさまざまな特色があります。おせち料理でしかお目にかからないようなものも多いため、最もお正月らしい料理とも言えます。