栄養価が高くて優秀過ぎる「ゆりね」はお正月に絶対食べるべき食材だった
ゆりねとは食用に適した百合の花の球根部分です。ゆりねは百合の中でも、オニユリやヤマユリ、スカシユリなど苦みの少ない種が用いられ、江戸時代中期以降に野菜として栽培が始まりました。
栄養価が高くて優秀過ぎる「ゆりね」はお正月に絶対食べるべき食材だった
ゆりねとは食用に適した百合の花の球根部分です。ゆりねは百合の中でも、オニユリやヤマユリ、スカシユリなど苦みの少ない種が用いられ、江戸時代中期以降に野菜として栽培が始まりました。ただし観賞用として売られている百合科の植物には毒性があるので、くれぐれも間違って口にしないよう注意が必要です。
ゆりねに込められた思いは「無病息災」
ゆりねの形は、まるで花のように鱗茎(りんけい)が幾重にも重なっています。ここから「年を重ねる」という意味で縁起をかつぎ、おせちに入れられるようになりました。鱗茎の重なりあう姿が「和合」に通じ、吉祥の象徴と見なされたのです。
古来ではゆりには霊的な力があると信じられ、その力で天上の扉を開いてくれると信じられていたため、 「新たな一年を無病息災で暮らせるように」との願いや、子孫繁栄を天に祈る意味も込められています。
栄養満点のゆりね
ゆりねは栄養価も高く、じゃがいもの2倍のタンパク質が含まれていることから、滋養強壮に良い食べ物でもあります。さらに、ゆりねにはカリウムや鉄、リンなど、他の食材では摂りづらい栄養素が摂れるため非常に優れた食材の一つです。 コレステロールの上昇を抑える効果を持つグルコマンナンも豊富で、健康食品としても注目を集めています。昔は、産後の母親や病人の体力回復に食べさせたり、漢方薬として咳止めや不眠の改善に用いられるなど、広い効果を期待され様々な使い方をされてきました。
ゆりねはそのまま甘煮にしておせちに入れたり、茶碗蒸しの具にするのが一般的ですが、冬至の七草にならって縁起をかつぐ風習も見られます。その際には「人参やキントンなど、”ン”がふたつついている食べ物を7つおせちに入れると、その年は幸運になる」と言って、ゆりねをキントンにして入れるなど工夫がこらされています。ゆりねは3年かけてわざとつぼみを切り落とし、じっくりと土の栄養を吸わせます。手間と時間をかけて丸く太く育ったゆりねは、縁起の良さだけでなく栄養面から見ても、おせちに適した食材だと言えます。