紀元前から愛される酢の物「なます」は、元々は肉料理だった!
お正月のおせちに入れられる紅白なますは、おめでたく縁起の良い水引になぞられて、千切りの人参と大根を紅白に見立て甘酢漬けにし、千切りした柚子で香りづけをしたものです。源平合戦での平家の赤旗と源氏の白旗になぞられて、「源平なます」とも呼ばれています。
紀元前から愛される酢の物「なます」は、元々は肉料理だった!
お正月のおせちに入れられる紅白なますは、おめでたく縁起の良い水引になぞられて、千切りの人参と大根を紅白に見立て甘酢漬けにし、千切りした柚子で香りづけをしたものです。源平合戦での平家の赤旗と源氏の白旗になぞられて、「源平なます」とも呼ばれています。
古くは中国から伝わり日本独自の発展を遂げた、なます。そんな「なます」ですが実は元々は違った料理だったようです。
「なます」は生肉だった!?
なますという名前は、「生(なま)」と「肉(しし)」を合わせて、「なましし」といわれていたものが転じて、「なます」となったとする説が有力です。肉を使ったものを「膾」、魚を使ったものは「鱠」とされていましたが、現在は「膾」の文字が使われています。「生酢」という文字をあてるのは実は間違いだったのです。
なますは元来、中国で紀元前の春秋時代に 生肉や生魚を細く刻んだ食べ物を指したことに始まります。秦の時代には生肉が使われることは珍しくなり、魚肉を用いることが一般的となりました。
日本でも、もともとは中国と同じ「生肉」という意味で使われていました。その証拠に奈良時代に書かれた日本書紀や万葉集にも、「膾(なます)」の記述があります。
しかし、平安時代後期に魚肉と野菜を細かく刻んであえた物を指す言葉に変わり、日本独自の発展を遂げていきます。
現代の「なます」のように、酢が使われるようになったのは平安時代から150年以上経った室町時代からです。その頃のなますは、煎り酒という日本酒に鰹節や梅干しを加えて煮詰めた調味料を用いて作られていました。
また今日では、なますは副菜としての位置づけですが江戸時代までは主菜の位置づけで食されていました。これは、なますが元々は魚肉を使用して作られていたことが背景にあるためだったのです。
なますには様々な種類がある!
おせちに用いられる、なますですが実は様々な種類があります。
現代のなますは魚肉を用いず、野菜のみあるいは野菜と果物でつくられており、これは「精進なます」とも呼ばれます。お正月のおせち料理に入っている、なますは精進なますなんです。
また、なますには二杯酢や三杯酢、甘酢が使われることが多いです。酢と醤油だけで作られた二杯酢は甘みが抑えられ酒のつまみにもなる、なますとなり三杯酢や甘酢を使って、「なます」を作ると甘みが効き、お子様もおいしく食べられます。味付けは各家庭で個性が出る点になりますね。
また、ネギやイカ・マグロといった魚介を酢味噌や辛子酢味噌で和えて作る「ぬた」も「なます」の一種です。ぬたは「饅膾」(ぬたなます)の略で味噌のどろりとした見た目が沼田を連想させることから「ぬた」と呼ばれるようになったそうです。
おせちを鮮やかに彩ってくれる「なます」ですが元々は生肉や魚肉が使われ、主菜であったとは驚きです。由来を知ったうえで、魚肉を用いた主菜となる「なます」を食してみるのもいいですね。