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“美味しい” と “美しい”を極めた、他にはないオレンジのオランジェット

公開日時:2019/05/07 00:00  更新日時:2019/05/07 09:39

東京・麻布十番にある「釜津田」。独創的な逸品をふるまうフレンチレストランで出されていた「オレンジのオランジェット」は、今や手土産の人気商品に。イートインからテイクアウトという新境地へ。店舗でしか食べられなかったオランジェットが、商品化されるまでの軌道を釜津田シェフにお伺いしました。

「オレンジのオランジェット」の原点はフレンチレストラン「釜津田」にあり

お祝い事や記念日、デートなど、かけがえのない日には、このうえなく贅沢な時間が過ごせる「釜津田」は、「麻布十番の隠れ家フレンチ」としてその名を馳せています。シェフである釜津田健氏が手がけるのは、フレンチを主にイタリアンや和食のエッセンスを加えた、オリジナリティ溢れる“イノベーション料理”。

▲「釜津田」と「ラ・シャルキュトリーカマツダ」を取り仕切る釜津田シェフ


使う食材は、日本海に突出した、石川県能登半島で収穫されるものがメインです。能登の有機野菜や魚介と出会い、衝撃を受けたという釜津田シェフが、料理を作る上で大切にしているのは、素材本来の味を素直に生かすということ。生産者や農家から仕入れる新鮮な作物、プレミアム牛、鮮魚を調理場に設けた囲炉裏で大胆にそしてシンプルに調理し、繊細に盛り付けていきます。

食事を楽しむ席は、フレンチでは珍しくカウンター推し。まるで寿司店や天ぷら店のよう。カウンターとキッチンは、対面式かつ垣根もなくフラットでライブ感満載。料理人が、食材に対して尊敬の念を抱いているのがよく見えます。軽やかな手さばきで仕上げられる一品にうっとりしながら、二言三言、会話を交わすうちに気づけば料理人とお客さんの距離感はグッと近くに。そんなこともきっかけのひとつとなり、「釜津田」の料理やスイーツはどんどん商品化されていくことになります。

▲「釜津田特製〜旬の有機野菜ピクルス〜」や「タルト・タタン」のほか、季節の商品が充実


「『釜津田』の料理を自宅で食べたい、今度会社でパーティーがあるのでケータリングをお願いしたいなど、お客様からのいろんな要望があり、お受けしているうちに大学病院の院長から『人間ドックを受けた方が食べるお弁当を作って欲しい』というご依頼もいただきまして。
受注件数と発注数が増え続け、だんだん『釜津田』のキッチンだけで対応するのがキャパオーバーになり、新店舗を立ち上げることにしたんです」

そんな構想を後押しするように『釜津田』の目の前の物件が手に入り、テイクアウト専門店『ラ・シャルキュトリーカマツダ』がオープン。

「テイクアウトメニューは、作ったその場で料理を食べていただく『釜津田』とは違い、“時間が経っても美味しくいただける”ということが大前提。店頭で販売しているお惣菜、デリカテッセン、スイーツのほか、ケータリングやお弁当も承っています」と話されるように、ラインナップはよりどりみどり。
その中で手土産やおもたせなど、特別なシーンで重宝されているのが、「オレンジのオランジェット」です。

▲ ライトグリーンのオーニングが目印の「ラ・シャルキュトリーカマツダ」

ひと口以上の満足感、ジュエリーのような艶やかさ

砂糖漬けにした柑橘をチョコレートでコーティングする、フランス菓子の定番品であるオランジェット。「釜津田」で出していた食後の小菓子・プティフール、ミニャルディーズのひとつだった「オレンジのオランジェット」は、不定期ながらも「テイクアウトできますか?」「おもたせにしたい!」と多くのリクエストが寄せられたそう。

▲ 約34,000人の会員を持つ、秘書のためのサポートサイト「こちら秘書室」公認の「接待の手土産」にも入選している「オレンジのオランジェット」


商品化するにあたって、苦労されたことを伺ってみると

「使う食材の下処理から調理、パッケージングまでひとつひとつ丁寧に、そしてクリエイティブに手作業で行っています。ひとつの工程にかける手間は、シンプルな見た目からは想像しづらいほど…オレンジとショコラが持つ、それぞれの風味と口当たりをしっかり引き出しながら相乗効果が高められるよう計算し尽くしています」

味、食感、口どけ、後味のすべて、納得のいく仕上がりをとことん追求。オレンジの果汁が爽やかに弾け出すジューシー感、口内の温度でスーッとしなやかに溶けて消えていくほろ苦いチョコレートが合わさり、一枚で十二分に食べ応えが得られます。


さらに注目すべきは、オレンジの果肉部分。果肉全体はもちろん、一粒一粒も潰れていないことが写真からも見て取れます。オレンジとチョコレートのコントラストも綺麗で、否応なしに惚れぼれしてしまうルックス。大切な人にこそ贈りたい、宝石のような眩さは、日々真摯に食材と向き合っているからこそできる技と言えるでしょう。

素材の良さを熟知しているからこそ手間をかける

 
作業の始まりは、オレンジの皮の表面を薄く削っていくところから。こうすることでアクを取り除き、皮の固さが程よくしなやかに。3時間程度水でさらしたオレンジを輪切りにし、糖度を加える前に3回煮こぼします。輪切りにしたオレンジの果肉が崩れたり、潰れてしまわないよう茹で汁を捨てる時は、ザルを使わず一枚一枚掬い上げバットに入れて、戻す時も一枚一枚鍋へ。

アクを抜ききった後は、3〜4回に分けて糖度を加えていき、ちょうどいい甘みのシロップでコトコトと煮詰めていきます。
そして、カリカリ食感にならないよう80℃程度のオーブンでセミドライに。この時も表裏をひっくり返しながら、輪切りのオレンジの様子をしっかりチェック。仕上がりの決め手になる、煮る加減、糖度のバランス、乾かし具合。オレンジの状態を見極めながら、その時々で最善のアシストを。ドライオレンジにするまでに、並々ならぬ手間暇が費やされています。


ショコラは、フランス産のクーベルチュール、マラカイボ65%を使用。オレンジに合うビターなチョコレートを厳選しているのでほかには何も加えません。口どけの良さをより際立たせるため、テンパリングは念入りに。オレンジの甘酸っぱさもチョコレートの濃厚さも知り尽くしているからこそ、作業がより丁寧になる。釜津田シェフをはじめ、料理人たちの“愛情”という名のスパイスも加味されているようです。

「コーヒーや紅茶はもちろん、ヴァンショーやロゼシャンパンといったアルコールに合わせて楽しむのもおすすめ。大切な人への贈り物、自分のためのご褒美スイーツとしてもぜひ」

オリジナルの木箱に詰め合わされた「オレンジのオランジェット」は、甘党、辛党、どんな人をも笑顔にするホスピタリティ溢れるものでした。

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