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神戸みやげの新定番! 原点回帰のバターサンド

公開日時:2019/04/16 00:00  更新日時:2019/04/16 09:40

兵庫県は神戸を代表する老舗の名店「亀井堂総本店」。看板商品の「瓦せんべい」は言わずもがなの神戸銘菓です。長い歴史の中で培ったノウハウと技術を活かし、2018年に新商品の「神戸元町バターサンドTONOWA-オリーブ-」が完成しました。今までにない新しいバターサンドの味わいは、おしゃれな神戸の手みやげとして瞬く間に人気商品に! 「TONOWA」ブランドの生みの親である5代目次期社長の松井隆昌さんに誕生秘話と美味しさの秘訣を伺いました。

洋菓子の材料、和菓子の技術から生まれた「瓦せんべい」

神戸港が開港して152年。その5年後の明治6年、創業者の松井佐助氏は「亀井堂総本店」を現在お店がある元町商店街に開店しました。佐助氏は、10代前半で子供を対象にした労働形態・育成制度である丁稚奉公に出され、神戸市内にあったせんべい屋で働くことに。
そこで当時メジャーなお菓子だった紅梅焼というおせんべいの職人として腕を磨きました。

▲「亀井堂総本店」5代目次期社長の松井隆昌さん


「開港を機に、神戸には外国人や政府の高官、商売人の社長など、お金持ちが集まるようになりました。それに伴い高級品も神戸に集まるようになり、薄力粉や砂糖、現在の価格にすると当時1個700円ほどしていたという卵も手に入るようになったんです。独立を考えていた初代は、洋菓子の材料と自分の和菓子の技術でお菓子を焼いたらどうなるだろうと試み、完成したのが瓦せんべいだったと聞いています」

新しい家もどんどん建設されはじめた神戸では、新築祝いに瓦を贈るという文化があったそうです。当時の日本では、大変高価な材料だった薄力粉、砂糖、卵を使い、おめでたい贈答品の形を模した「瓦せんべい」を考案。
「贅沢せんべい」などと呼ばれ、たちまち話題になり神戸の名物へ。明治19年にロシアのニコライ皇太子が来日した際には、天皇が地方の名産品を贈った中に「瓦せんべい」も入っていたと記録されています。それが今も形を変えず、作り続けられているというから驚きです。和菓子文化だった日本人に、開港後に入ってきた洋菓子文化をソフトに伝えたのが、この「瓦せんべい」なのでした。

▲ 元町の発展とともに歩んできた「亀井堂総本店」

▲ 初代・佐助氏は、技術や作り方を惜しみなく伝え、全国に「瓦せんべい」を広めました。東京の銘菓として知られる「人形焼」も「瓦せんべい」から影響を受けて作られたと言われています


ところが、時代の流れと共に贈答品の「瓦せんべい」だけでは地域の人に愛され続けるのは難しいことを松井さんは感じはじめます。

「初代は貯金をして、どんどん新しい食材を取り入れ、新しいお菓子を生み出していきました。日本で最初に乳製品を使ったお菓子を作ったのも『亀井堂総本店』と、書面に残っているほどのパイオニア的な存在でした。それなのに時代に一石を投じた『瓦せんべい』は、気づいたら伝統になっていたんです。もちろん伝統を守ることは大事ですが、初代は伝統を守りながらも進化し続けることを望んでいるに違いないと思うようになりました」

今、この時代に初代がいたら何をしているだろう。松井さんが原点回帰することで「神戸元町バターサンドTONOWA-オリーブ-」を誕生させることができたのです。

お客さんが喜ぶミックスカルチャーのお菓子を生み出す

「TONOWA」とは、「○○との和」「○○との環」を意味します。ブランドの構想は、2015年頃からスタートしました。「瓦せんべい」の開発コンセプトを考えた時に、おせんべいという和の器に洋菓子の材料を入れているということに着目。今までにないミックスカルチャーを作り出してきた、初代がやってきたことをなぞってみることにしました。

「僕が地域のお客様に喜んでもらえるものを作る時に、洋菓子を作っても業界の後発でしかないし、和菓子を作ってもノウハウがないので和菓子職人にはかなわない。神戸でまだどこもやっていないことをやろうと決めました」

松井さんは、洋菓子でも和菓子でもない。食事で言うところの“欧風カレーライス”のような、洋風だけれど日本人が作ったものを探しました。そこで見つけたのが、バターサンドだったのです。皮と皮で餡子を挟むモナカの発想から生まれたお菓子でした。さっそく、バターサンドに神戸らしいエッセンスを加えるため、いろいろと調べました。
そこで「オリーブが日本に最初に入ってきた町が神戸である」という歴史を発見します。「瓦せんべい」の焼印にも押されている、鎌倉時代の武将・楠木正成を祀る湊川神社(兵庫県神戸市)には、今も日本で一番古いオリーブの木が植えられています。「そのルーツがあるなら、オリーブのお菓子を作らないといけない!」。そう思った松井さんは、和の器に洋の素材を入れるというコンセプトにならって、オリーブのバターサンドを作ることに。


そこから、松井さんの試行錯誤は始まります。そもそもオリーブは、糖度を持っていないため、お菓子に使われることはほとんどありません。どうやってバターサンドに取り入れるか。考え抜いた先に思いついたのが“餡子”の発想でした。

「甘くないものを甘くして食べる文化が和菓子にはある、といことに気づいたんです。小豆自体には甘味はないけれど、砂糖と合わせて炊くことで美味しい餡子になる。そのプロセスはオリーブにも使えるだろうと、オリーブを砂糖で炊いてクリームに合わせました」

最初は、マロングラッセのように丸い形状のまま炊き、少しずつ砂糖を足していきました。しかし、それでは果実の水分が抜けてしわしわに。食感を活かしながら甘くできる方法がないか、1年程研究を重ねました。最終的に辿り着いたのが、刻んでからコオンポートにする方法。そうすることでしっかり形も味も残ることがわかりました。

▲ ジンとベルモットを入れてフランベします


さらに、煮詰めた仕上げにはジンとベルモットを入れてフランベし、香りをまとわせるひと手間を。この発想は、カクテルのマティーニからきたものです。ラムのイメージが強いバターサンドですが、それではオリーブの香りが負けてしまう。ジンとベルモットを加えることで、よりオリーブの香りや風味が引き立つようになりました。

▲ バタークリームに煮詰めたオリーブを入れて混ぜ合わせます


味の決め手となるバタークリームは、バターとホワイトチョコレートのみのシンプルな組み合わせです。バターは北海道産、ホワイトチョコレートは世界中のチョコレートから吟味し、大人な味わいが楽しめるスペイン産を使っています。

「昔お菓子に満足度を求めていましたが、今はいいものを少しだけ食べたいという思考に変わっています。『TONOWA』というブランドはギフト商品なので、届ける人がもう一個食べたいくらいの軽いものにしないといけない。そこで、バターをホイップすることを思いつきました」

しっかりとバターをホイップするだけでクリームのくどさはどこへやら。チョコレートの香りが引き立つ、軽やかでリッチなバタークリームができました。

▲ シリコンシートを敷いた上に生地を並べ、コンベクションオーブンでまんべんなく焼き色をつけます

▲ 焼きあがったらすぐに焼印を押してサブレ生地が完成です


クリームを挟むサブレ生地には「瓦せんべい」と同じ粉を使用。「瓦せんべい」よりもしっとりした口当たりになるよう配合を調整し、クリームの軽い食感に合うよう外はサクッと中はしっとりに。糖分は控え、粉とバターの香りがクリームの甘味を引き立てる生地になっています。

完成したバターサンドをひと口食べると、軽やかなバタークリームにうっとり。オリーブに加えたジンとベルモットがひと言では表現できない味の奥行きをもたらし、もう一個とつい手が伸びる美味しさです。すべてが、計算で組み立てられた味わいは、たった1年足らずで神戸みやげの人気商品の仲間入りを果たし、1000以上のアイテムがそろう「NIPPON OMIYAGE AWARD」の食品部門で2番目の褒賞である「特別審査優秀賞」を受賞しました。

バターサンドをメディアに。産地の思いを届ける

「TONOWA」はこれで完成ではなく、まだ始まったばかりのブランドです。今後の展開として、日本全国の果実をバターサンドで表現していくことを掲げています。その第一弾として、2019年の春夏商品に登場したのが「淡路島なるとオレンジ」です。

▲ 完成した「TONOWA」はひとつひとつ手で丁寧に梱包していきます


「お菓子の語源は『果実』なんです。弥生時代に山から採ってきた果物が、お菓子だったことからだと言われています。柑橘はもちろん、オリーブやりんごなども果実。原点回帰をするのなら、一番の原点にという思いで始めました」

中でも松井さんが選んでいるのは、こだわりをもって育てた少量生産の果実。それは、一次産業の人の思いを「TONOWA」というメディアを通してお客さんに伝えたいと思ったからだと語ります。

「ほとんどの人にとって、淡路島なるとオレンジは馴染みがないと思います。ここの農家さんは、お父さんたちから息子さんが木を受け継ぎ育てていますが、儲からないと続けていけません。こだわって作っている農家さんにお金が流れる仕組みを作りたい。お菓子で使用することで、彼らには届けられない顧客に思いを届けることができると思っています」

収益をあげながら生産者を応援することで、持続可能な事業に発展できる。松井さんはそのモデルを「TONOWA」で作ろうとしています。

▲ パッケージやロゴ、イラストは、これまでもお付き合いのある神戸のデザイナーさんがすべて手がけています

▲現在オリーブはスペイン産のものを使用していますが、今後、安定した生産量が確保できれば、少しずつ淡路産のオリーブに移行していく予定です


「『亀井堂総本店』の柱は、今後も瓦せんべいだと思っています。バターサンドの事業は、それを伸ばすためでもあるんです。140年以上続いたものは、神戸にとって文化であり価値である。IT産業にとっては新しいものがすべてですが、土地にとっては新しいものだけではダメで。古いものがあって、自分たちの誇りになっていくものが100年後も残るように、何をしないといけないかを考えていかないといけません」

▲お土産コーナーでひときわ目を引くロゴとパッケージ。神戸の街を表しています


“神戸らしさ”は、神戸産のものでブランディングすることではなく、ミックスすることだと松井さんは言います。港町ならではの新しい文化が入ってくる神戸だからこそ、新しいプロダクトを考えることができる。“神戸らしさ”は、神戸センス! 神戸というフィルターを通し、今後も挑戦が続きます。天国から見守る創業者の佐助さんも「よくやった!」と、きっと褒めたたえていることでしょう。

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