もっちりと甘い三間町のお米。大切な人に贈りたい記憶に残るMIMARICE
ポップでにぎやかなビジュアルに惹かれて買ってみたら、甘くてもっちりのとびきりおいしいお米だった。そんな見た目と味のインパクトで口コミが広がったMIMARICE(ミマライス)。仕掛け人に会うため、お米の産地である愛媛県宇和島市三間町を訪ねました。
おしゃれな見た目とおいしさで誰かに贈りたくなるMIMARICE
四国の西側、愛媛県の南部に位置する宇和島市は、宇和海に面したリアス式海岸と山地に囲まれた独特の地形で、海と山の幸に恵まれた地域です。
市街地から車で20分ほど走り三間(みま)町に入ると、辺り一面に広がっていたのは収穫の時を待つ稲穂がキラキラと輝く田んぼ。地元のお米を全国に発信する夫婦が営む酒屋「KOUJIYA」は、そんなのどかなロケーションにあります。
もともとは、「糀屋」という店名で地元の人に親しまれており、店舗は築120年ほどの歴史ある建物。3代目にあたる高山雄大さんが東京から帰郷して3年目の2018年春に、店舗空間を広げて改装し、店名を「KOUJIYA」としました。
▲3代目の高山雄大さん(左)と東京で生まれ育った妻の白鳥未来さん(右)
古い日本家屋ならではの重厚な造りを生かし、新しく生まれ変わった「KOUJIYA」。
お酒のバリエーションを増やし、ワインセラーを設えるほか、お酒と一緒に食卓に並べたいこだわりの食品も並んでいます。どれも安心・安全なものを基本に、ラベルやパッケージがおしゃれなものばかり。まるでお酒と食品のセレクトショップのようです。
「酒屋の概念を超え 酒屋から派生する商品やストーリー ロケーションを提案したい」と話す、雄大さんの妻の未来さんは元々アパレルのデザイナー。
ミュージシャンをしながら銀座のカフェで経験を積んだ雄大さんと未来さんが東京で出会い、子どもを授かったことをきっかけに三間町に移り住んで、実家の酒屋を継ぐことにしたのです。
▲地元の活動や神社のお祭り等でお酒を奉納してきた歴史ある酒屋
▲日本酒やワインなど、バラエティ豊かなラベルが映えるディスプレイ
▲築120年の重厚な建物を、昔の梁や欄間を残したままリノベーション
生まれ育った三間町のお米のおいしさを全国に発信したい
東京で生まれ育った未来さんにとって、地方での暮らしは始めてのことばかり。
「三間町に来てまず驚いたのは、新鮮な地元のお野菜がすごく安い値段で買えること。子育ての面では大自然に囲まれているので、2人の子どもたちがいつでも遊び回れますし、人間関係が希薄なこの御時世にも関わらず近所のおじさんやおばさんが子どもたちを気にかけてくださり本当にありがたい。地方の暮らしは“豊かだ”と実感しています」
東京からUターンしてきた雄大さんと未来さん夫妻を温かく迎え入れてくれた三間町の人たちに喜んでもらえる仕事がしたい。
その想いで取り組み始めたのが、地元の人たちが集える場づくり、そして地元のいいものをブランディングして全国に発信していくことでした。
「角打ちといって、地元の人たちがうちのお店でお酒を買ってその場で飲みながら世間話をする習慣がありました。僕が幼いころは、学校から帰ってくるとお店に近所のおじさんたちが集まって、向かいの魚屋で買ってきた刺身をつまみに楽しそうにお酒を飲んでいたのが印象的でした。
そのころの日常風景を残したくて、改装した店舗の一角に座れるスペースを作ったんです。現在は、朝におじさんたちが集まってお店で買った缶コーヒーを飲むのが日常となっています」と笑う雄大さん。
そんな日常的に繰り広げられる近所のおじさんたちとの雑談が、MIMARICEをリリースするきっかけとなりました。
「KOUJIYA」を訪れる人の中には、お米を栽培する農家のおじさんたちも多くいます。実は三間町、古くは美沼(みぬま)と言われていた愛媛県屈指の美田地帯。標高150mの盆地のため、朝晩の寒暖差が大きく、水田にふさわしい粘土質の土壌、四万十川の上流からひいてきたきれいな水など、おいしいお米ができる好条件がそろっています。
小さいころから三間町のお米を食べ続け、大人になってからも好きな食べ物を聞かれると迷わず「白米」と答えていたほど、三間町のお米に魅了されていた雄大さん。物心がついたころから、「実家の酒屋を継いだ際には、お酒だけでなく三間町のお米も広く販売していきたい」と考えていました。
そして、おいしいだけでなく、安心・安全なお米を全国に発信したいと思っていた雄大さんは、毎朝お店を訪れる農家のおじさんたちから情報をもらい、米づくりにこだわる農家さんを紹介してもらうようになります。
▲三間町のお米は、米粒が小ぶりなのが特徴
今までにないパッケージデザインと誰かにプレゼントしたくなるお米
MIMARICEは、一等級コシヒカリ100%で節減対象農薬の使用回数が50%以下、化学肥料の窒素成分量が50%以下という厳しい基準で栽培されたエコ栽培米。産地と品種がわかる安心・安全なお米を届けたい、という観点から収穫後の農産物検査を受けたお米を厳選しています。
さらに雄大さんがこだわったのは、その味です。
「僕が小さい頃から食べてきた三間町のお米は、もっちりとした食感で噛みしめるほどに甘みが増していき、冷めてもおいしいのでお弁当にもぴったりなんです。その特徴をしっかり感じられるお米を選びました」
現在は、信頼のおける三間町の4軒の農家から仕入れたお米をMIMARICEとして販売しています。
▲10kg入りの布袋は、使用後にバッグとしても使える
MIMARICEで一番に目をひくのは、見ただけで元気が出そうなポップなデザインのラベル。ディレクションを担当したのは未来さんです。
「お米だとは思わなかった! と驚いてもらえたら嬉しいです。『KOUJIYA』を訪れる農家さんからいろいろな話を聞くうちに、農業の大変さをひしひしと感じるようになりました。
大変な思いをしながら厳しい基準のエコ栽培米を作っている農家さんが報われるように、労働に見合う対価をきちんとお支払いするべきだと思ったんです。
そのためには、ラベルにも特別感を出して、贈り物にしたくなるようなパッケージにする必要があると思いました」
2017年秋より発売がスタートしたMIMARICEは、見た目のインパクトとおいしさからSNSで話題になり、内祝いや結婚式の引き出物、プレゼントのほか、お中元やお歳暮などの需要で発注が殺到し即完売。2018年度産の新米を心待ちにする声が、全国から届いているそうです。
KOUJIYA
https://gurusuguri.com/shop/mimarice/