粋蜜糖　SUIMITSUTOU　野菜の砂糖漬け

ここがこだわり

和彩seedsについて

豊かな緑に囲まれ、山海の恵みがすぐそばに自然の恩恵をたくさん頂ける宮城の杜の都「仙台」に当店はございます。

「粋蜜糖」が生まれるまで

「蕗の砂糖漬け」
昔、田舎のおばちゃんが私に出してくれたおやつでした。
それは料理人を目指した18歳の時からいつか再現してみよう。そう心に決めていた思い出の一品だったのです。

蕗の味もしっかりあるのに優しい甘味、、、そしてとてもきれいな緑色。
今でもその色ははっきりと覚えています。

料理人になった私はチャンスがあれは仕事の合間に研究を重ねてきました。
記憶にあるきれいなあの緑色の蕗のイメージに近づけるにはどうしたらいいのか、
試行錯誤するもなかなか納得のいくものは出来ませんでした。

16年前、私は独立し念願の自分の店を持つことが出来ました。
いろんな料理の中で女性に一番人気になったのは
野菜だけで作るヘルシーランチというコース仕立てのランチメニューでした。

長い間その人気は衰えず、もっとお客様に喜んでもらえるなら野菜だけで作ることにこだわろうと最後にお出しするデザートも野菜を使った特別ものをお出ししたい。と本格的に考えるようになったのです。
そこで独立後、しばらく忘れていた遠い記憶がよみがえり、
もう一度、あの野菜の砂糖漬けにチャレンジしてみようと思ったのです。

商品が出来上がるまでは3年の歳月がかかりました

1年目、、。蕗や生姜、店頭でも見かけたことのある食材から始めました。
天気や湿度、野菜の鮮度などいろいろな条件をそろえるもある時は色が黒くなったり、またある時はすぐ痛んだり、、、、
なかなか安定したものにはなりませんでした。
また表面にまぶしたグラニュー糖の食感がとても強く感じるものでした。

『保存するためには砂糖をたくさん使って甘くすればいい。それは塩漬けと同じこと。でも料理としては美味しくない日本料理は素材の持ち味を生かすことなのに、、、。』　
心の中でいろんな葛藤が生じなかなかうまくいきませんでした。

料理というものは職人の長年の感と経験をもとに成り立っていたと思っていました。
もちろん配合などのレシピは存在します。
しかし料理の知識だけではただ甘いだけの砂糖漬けしか作れないと気づいたのです。

葛藤の日々を過ごし、2年目。
自分ひとりではなかなか開発が進まず適当になってしまいそうだったので、
ペースメーカーのつもりで県の事業に参加することに決めました。これは専門家のアドバイスをもらいながら、商品開発のアシストをしてもらうという事業でした。
このころからコース料理の一品というよりももっと大きなくくりで料理を提供したいという気持ちが沸き、手土産になるよう商品開発したいという気持ちが強くなったのです。

微生物やカビなどの勉強を重ね保存食としてのギリギリの甘さと保存の利く水分量の見極め方など産業技術センターや保健所や微生物の専門家など様々なところに相談に行きました。
そして化学的にアプローチしたことで今まで長年の経験による感と技術は化学に基づいていたことが改めて理解できたのです。

そんな中、温故知新の精神で日本料理の神髄に立ち戻り、古くから伝わる先人の知恵をお借りし、そこに今回研究し見つけた独自の手法を加えて調理してみると、自分が目指すものは作れると確信、多くの野菜で応用が利くようになったのです。

本来、日本料理は余計なものを足さず、素材の持ち味を生かす料理です。
この商品も自然が作り出した美しい色を残すこと。
野菜本来の旨味を引き出し、さらにそれを閉じ込めること。
素材を引き立てる甘さと水分量を調整し食感を大切にする事。
余計なものに頼らず、砂糖のみというシンプルな調味料で作ること。
そして細工や飾り包丁で、ほんのちょっぴり遊び心を加えること・・・。

お客様に喜んでいただけるよう　笑顔を想像しながら、ひとつひとつの素材に向き合い、見極め、仕上げること。
こうしてようやく繊細で地味深く、上品で自然な美しさを作りだすこと成功したのです。

3年目。
蕗　タケノコ　パプリカ　そら豆　トマト　生姜　トウモロコシ　カリフラワー
ゴーヤ　ナス　きのこ　ごぼう　サツマイモ　蕪　人参　大根　蓮根　　

季節の移ろいを大切にしたたくさんの砂糖漬けが完成しました。
どれ一つとっても食感が違います。
しっとりしているもの、甘酸っぱいもの、後から野菜の味が出てくるもの、シャキシャキしているもの、、、
見た目の可愛らしさはもちろん職人の技と日本料理の奥深さを感じていただけれたらうれしいです。

作り方のご紹介

詳しくは企業秘密です。

一番手間のかかる作業は皮を剥くことです。
トマトはヘタが取れないように、、、。そら豆は傷がつかないように、、、。
パプリカも皮を剥きます。それはそれは本当に気が遠くなる作業です。　
鮮度が良いほど身が皮にくっついてしまい、穴が開きやすい。

さらにパプリカは砂糖に漬けてある程度水分が向けたところで　編み込みます。
三つ編みにするため市場には出ないLLサイズのものを生産者の方から直接買い付けます

人参はひとつひとつ梅の花のように包丁でひとつひとつ飾りを入れます。
紫ジャガイモなどはシャキッとした食感を残しつつ和菓子のように練り切りに細工します。

美しい色は和食の技術の応用です。
大根やナスは皮に色がついていますが、中身は白いものがほとんどです。
皮目から　色を抽出し一度外に出したものをもう一度　身に戻すという工程を踏んでいます。
ですから皮が紫いろのナスは中まで紫に皮が赤い大根は中までピンクに染まります。　

野菜ごとそれぞれ食感は違います。
柔らかくセミドライですがその水分量の見極めは職人技です。
砂糖が入りすぎればただ甘いだけ。
野菜の水分が多ければ保存が出来ず腐ってしまいます。
そのバランスは野菜それぞれに異なるためレシピは存在しません。
粋蜜糖はそのギリギリのところを見極めるための非常に細かい観察が必要で
出来上がりのタイミングを計る重要なポイントになります。

日本料理は素材の良さが一番の条件になる料理です。
素材の質や鮮度を見極め選定する。それは料理と同様にこの粋蜜糖も同じです。
野菜の中でも形や色がそろった最高級品を使って作っています。

化学調味料保存料合成着色料香料などはもちろん使用しておりません。

私たちが嬉しい瞬間はお客様の輝く笑顔を見たときです。

食事の最後、デザートにお皿に盛りつけたパプリカ、トマト、ごぼう、エリンギを見て
「かわいい！　お野菜ですか？」
はい。野菜の砂糖漬けです。味が濃いので少しずつ召上ってくださいねとそう伝えると、
「野菜の砂糖漬け？？？甘い野菜ってナニ、、、？」

はじめは皆さん不思議に思い、味が想像できないようですが召上ってもらうと、
「うそっ！ナニコレ？え？美味しいーーー　不思議ーーー！！！」
「あ、すごい　ちゃんとパプリカだ！」「こっちはエリンギ？　　ほんとだ。エリンギだーーー」
「甘すぎないし、食感も面白いね」「これはトマト？これはごぼう？」
と楽しそうに目をキラキラさせてくださいます。

そして必ず笑顔になります。
味が想像できない分、粋蜜糖を召上ったお客様のその衝撃に驚いているお顔が非常に楽しそうで、私たちも一緒に盛り上がってしまいます。
それがなによりうれしい瞬間です。